「無戸籍」 当事者の声を聞け

井戸まさえ・元衆院議員
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井戸まさえ氏=須藤孝撮影
井戸まさえ氏=須藤孝撮影

 山下貴司法相は、出生届が出されず戸籍に記載のない無戸籍者問題の一因と指摘される民法の嫡出推定の見直しを、法制審議会に諮問した。

 法制審で審議されることは歴史的なことだ。明治から120年以上変わってこなかった民法を動かすことは評価できる。

 しかし、本当に時計の針は前に進むのか。

 法制審の場には無戸籍の当事者がいない。この問題は法律の問題であるだけではなく、今、日本社会に生きている人の具体的な人権の問題だ。そもそも無戸籍者は、自分自身ではなく親などの事情によって無戸籍になるにも関わらず、自分自身がもっとも不利益を受ける。

 だからこそ、議論に当事者が関わらなくてはならない。もしくはその代弁者が必要である。委員の中に直接当事者と会ったことがあるという人は何人いるのだろうか。山下法相にも法務省にもそのことを強く訴えたい。

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井戸まさえ

元衆院議員

1965年生まれ。兵庫県議を経て2009年衆院初当選。「民法722条による無戸籍家族の会」代表。立憲民主党衆院東京4区総支部長。著書に「日本の無戸籍者」(岩波新書)、「無戸籍の日本人」(集英社)。「ドキュメント候補者たちの闘争 選挙とカネと政党」(岩波書店)ほか。