日韓関係、そもそも何を期待するのか ご意見募集

櫻田淳・東洋学園大教授
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櫻田淳さん
櫻田淳さん

 このたび、読者に喚起するのは、白真勲氏(参議院議員)の論稿をたたき台にした議論である。8月2日、日本政府は、貿易管理にかかる優遇を受けられる「ホワイト国」27カ国から韓国を除外する措置を閣議決定した。これに先立って発動されていた戦略物資3品目にかかる対韓輸出優遇の停止措置について、NHK世論調査は、「『適切な対応だ』が45%、『不適切な対応だ』が9%、『どちらともいえない』が37%である」という評価を伝えている。「ホワイト国」からの韓国除外措置についても、日本政府が実施したパブリックコメントには4万件超の意見が寄せられ、その大半は政府方針を「是」とするものであると報じられている。

 白氏の論稿は、日韓関係の現状に危機意識を切実に表明したものである。白氏は、「日本人と韓国人は顔はそっくり。だからお互いが相手は自分と同じ感覚だろうと思い込んでいます。そして自分の国の物差しで相手の国をはかろうとします」とみた上で、「日本と韓国はもともと違うのに、同じだと思うからいけません。『なぜ同じではないのか』と怒るのではなくて、違うことを認める。そして、違いを楽しめばいいのではないかと思います」と訴えている。そして、白氏は、次のように記している。「楽しいことを前面に出すことによって、過去に向き合うこともしやすくなると思います。過去だけをみているとお互いが疲れてしまいます。つらい過去は大事だけれども、つらいことが1ならば、楽しいことが100ぐらいにしたほうがうまくいきます。しかし、今の日韓関係は逆になってしまっています」

 確かに、白氏が記すように、「楽しいことを前面に出した関係」は、日韓両国には好ましいものであるかもしれない。日本国内が「韓流ブーム」に沸いた00年代前期以降の歳月は、その可能性を示したといえる。ただし、その「楽しいことを前面に出した関係」は、長くは続かなかった。日本国内における対韓感情の悪化には、韓国サイドが「楽しいことを前面に出した関係」を徹底させずに、従軍慰安婦案件や戦時労働者案件を含めて「楽しくない話」を累次、持ち出してきたという意識が反映されている。

 日韓関係が良好であるか険悪であるかは、実は「時代の空気」の反映に過ぎない。今、底なし沼に落ちた感のある日韓関係の現状を前にして、「日本は、韓国という隣国との関係をどのように位置付けるか」や「日本は、そもそも韓国との関係に何を期待するのか」という根本的な議論が大事であろうと思われる。白氏の論稿に即して、そうした根本的な議論のための視点を読者各位には承りたい。

櫻田淳

東洋学園大教授

1965年生まれ。専門は国際政治学、安全保障。衆院議員政策担当秘書の経験もある。著書に「国家の役割とは何か」「『常識』としての保守主義」など。フェイスブックでも時事問題についての寸評を発信。