ペット「闇処分」を無くしたいなら投票に行こう

塩村あやか・参院議員
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塩村文夏氏=内藤絵美撮影
塩村文夏氏=内藤絵美撮影

 20代の時に動物愛護団体の飼い主(猫の里親)募集に応じて黒い子猫をもらった。女性の1人暮らしには譲渡しないという決まりがあって、団体の人に家に4回ぐらい来てもらい、自宅での仕事が多いということを納得してもらって引き取った。

「殺処分ゼロ」

 とても可愛くて、もし私が引き取らなかったら殺処分されていたということを知ってしまった。それで、その団体の手伝いを始めた。一時的に預かって責任ある飼い主を探して引き取ってもらうという活動をしていた。一度預かると、とても殺処分にすることは考えられなくなる。できる限り一生懸命やった。

 殺処分を減らすために政治家に働きかけているうちに、自分でやったほうが早い、と思うようになった。蛇口が開きっぱなしになったまま水をすくっていても追いつかない。2013年に東京都議になって取り組むと反響が大きく、「殺処分ゼロ」は人気政策となり、行政殺処分0に近づいた自治体も多くなった。小池百合子氏も「殺処分ゼロ」を掲げて都知事になった。

増えた「闇処分」

 ただその裏で「闇処分」が増えたことも確かだ。「終生飼養」といえば当たり前のことではあるが、実態としてはケージを積み重ねたような劣悪な環境で死ぬのを待っていたり、売れ残りを繁殖に使った後「引き取り屋」に渡してしまったりする。その後はどうなるかわからない。

 背景には日本の動物愛護に関する法規制の緩さがある。欧米ではケージの高さが「体高の2倍以上、最低でも2メートル以上」などの数値規制があるが、日本では「清潔」や「健康」などの表現はあっても数値規制がなかった。どうとでもなる部分があって非常に劣悪な環境であってもなかなか行政が手を出せなかった。

数値規制が必要

 動物愛護団体の人たちにも協力をお願いしたい。譲渡活動とあわせて、規制に切り込んでいかないと、本当に動物の命を守ることにはならない。

 6月に成立した改正動物愛護法では犬猫の販売開始時期を生後49日(7週)超から56日(8週)超に改めたが、抵抗が非常に強かった。これから環境省令でケージなどの数値を決めていくが、これも抵抗が大きいだろう。

 環境省の審議会(中央環境審議会動物愛護部会)や検討会(動物の適正な飼養管理方法等に関する検討会)などでは有識者や委員が「数値規制は不可能」という趣旨の意見を述べたり後ろ向きの発言をしたりしている。欧米では実際に数値規制があるにもかかわらず、後ろ向きだったり不可能というのは委員や有識者にふさわしいとは思えない。

おかしいと思ったら投票に

 審議会は議事録はあるが、検討会は議事録が無く議事要旨しかないため、誰が発言したかがわからない。こういうやり方で大事なことが決まっていく。これは政治家だけのせいではなく、選挙に行かない有権者にも責任がある。

 業界が政治に働きかけ、政治が動くのは否定されるべきことではない。ただし、そこにおかしなことがあった時にチェックする勢力は実際には野党だ。

 そのためにはおかしなことが行われていると思ったら投票に行ってほしい。ペットのように自分に身近な分野から入っていけば、審議会や検討会でいかにおかしなことがあるか、気がつくようになる。そして自分の1票は実はものすごい力を持っているということもわかる。結局は政治はそういう力で動いているのだということを感じてほしい。

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塩村あやか

参院議員

1978年生まれ。放送作家、東京都議を経て2019年参院初当選。参院東京選挙区、当選1回。立憲民主党。