潮流・深層

「有志連合」構想が浮き彫りにした米国の指導力低下

古本陽荘・北米総局長
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中東のホルムズ海峡を通過する米海軍の強襲揚陸艦「ボクサー」など=2019年8月12日、米国防総省提供
中東のホルムズ海峡を通過する米海軍の強襲揚陸艦「ボクサー」など=2019年8月12日、米国防総省提供

 中東・ホルムズ海峡で起きた民間タンカーへの攻撃を受け、トランプ米政権が提案している「有志連合」構想が難航している。賛同する国が少なく、実現に時間を要しているのだ。国際社会の秩序安定のため時には強引ながらも指導力を発揮してきた米国にとっては、受け入れがたい現実だ。だが、この構想を表明して参加国を募った過程はまさに、米国の指導力の低下を見せつけたと言っても過言ではないだろう。

 ホルムズ海峡周辺で日本の海運会社が運航していたタンカーなどが何者かに攻撃を受けたのは6月13日だった。米軍は、装着型爆弾であるリムペット・マインの一部がタンカーの船体に張り付いたままになっている写真や犯行に関わったとみられる小型高速艇の写真とビデオを公開し、イランの革命防衛隊による攻撃だと認定した。イランの挑発行動を抑止して再発を防ぐため、各国が軍隊をホルムズ海峡などに派遣しようというのが「海洋安全保障イニシアチブ(有志連合)」だ。

 米政府はワシントンの国務省に各国の関係者を招いた説明会を7月19日に開催し、調整を本格化させた。だが、これまで参加の意向を表明したのは英国、オーストラリア、バーレーンなど一部の国に限られており、構想実現に向けた環境は整っていない。ポンペオ国務長官も「我々が想定していたよりも時間がかかる」と認めたように、国際社会から賛同の声が上がらないことは想定外だったようだ。

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古本陽荘

北米総局長

1969年生まれ。97年毎日新聞入社。横浜支局、政治部、外信部を経て2018年12月から北米総局長(ワシントン)