韓流パラダイム

曺国氏を切り捨てられない文大統領の根深いトラウマ

堀山明子・ソウル支局長
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「曺国OUT」のプラカードを手に法相の辞任を求める高麗大学生ら。曺氏の娘が不正入学した疑惑が浮上したソウル大、高麗大では構内で集会が開かれた=2019年9月19日夜、堀山明子撮影
「曺国OUT」のプラカードを手に法相の辞任を求める高麗大学生ら。曺氏の娘が不正入学した疑惑が浮上したソウル大、高麗大では構内で集会が開かれた=2019年9月19日夜、堀山明子撮影

 法相の自宅が家宅捜索を受けるという前代未聞の混乱に陥った韓国。捜査を指揮する検事総長も、疑惑まみれの法相も、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が最重要政策の検察改革のために任命した「切り札」だ。2人が対立した後も、どちらも切り捨てられないのはなぜなのか。その謎を突きつめると、かつて検察改革に挫折した文大統領のトラウマが浮き彫りになってくる。

 渦中の2人は、7月に任命された尹錫悦(ユン・ソクヨル)検事総長と、9月に任命された曺国(チョ・グク)法相。検察改革を担当する青瓦台(韓国大統領府)の民情首席秘書官だった曺氏は、原則主義者の尹氏の任命に難色を示す一方、尹氏も法相の国会人事聴聞会が始まる前に曺氏の娘の不正入試疑惑で大学や関連施設への家宅捜索を強行し、「法相に不適切」という事実上の警告を発信し続けた。要は、2人は就任前から、けん制し合う犬猿の仲だった。

 文政権は世論動向に敏感なので、他の閣僚ポストだったら候補を変えたかもしれない。しかし、検察を監督する法相と、検察改革を担当する民情首席のポストは、権力を掌握する要のポストであり、大統領の生命線とも言える。代えはそういないのだ。

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堀山明子

ソウル支局長

1967年生まれ。91年入社。静岡支局、夕刊編集部、政治部などを経て2004年4月からソウル支局特派員。北朝鮮核問題を巡る6カ国協議などを取材した。11年5月からロサンゼルス特派員。18年4月から現職。