安倍晋三首相の改憲意欲に疑問

杉尾秀哉・立憲民主党機関紙・報道局長
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杉尾秀哉氏=高橋恵子撮影
杉尾秀哉氏=高橋恵子撮影

 そもそも安倍晋三首相は憲法を変えようと本気で思っているのか疑わしい。むしろ憲法改正を政権維持の材料として利用しているのではないか。野党が乗らなければ発議に必要な衆参両院の3分の2の議席を安定的に取ることは難しい。ギリギリで突入してふたを開けたら造反が出たなどという危険なことはできないはずだ。そう考えると、最初から野党が乗れる案を示すのが常道だろうが、現状はそうではない。

 これまで首相は憲法を変えるとは言い続けているが、中身についてはその時々でころころ変わっている。例えば改憲手続きを定める96条改正を言ってみたり、今度は9条に自衛隊を書き加えるだけだという話をしたり。何のためにどこをどう変えたいのかはっきりしない。

 むしろ、拉致問題もそうだが、憲法改正を言い続けることで求心力を保ち、政権を維持する大きな柱になっているのではないか。だから、首相に近いとされる自民党の下村博文・憲法改正推進本部長(当時)が憲法審査会を巡る野党の姿勢を「職場放棄」と言ったり、萩生田光一幹事長代行(当時)が大島理森衆院議長の交代に言及したりして改憲の加速化を試みるものの、野党が反発するとすっと引く。ずっとこの繰り返しだ。

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杉尾秀哉

立憲民主党機関紙・報道局長

1957年生まれ。TBSワシントン支局長、報道局社会部長などを経て2016年参院選で初当選。民進党国対副委員長、広報局副局長などを歴任。長野選挙区、当選1回。