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北の島々は(7) 立ちふさがる国際情勢 「天の時」は訪れるのか

6月に大阪で開かれた主要20カ国・地域(G20)首脳会議に出席したプーチン露大統領。日本国内ではプーチン氏の訪日に先立ち、平和条約交渉の進展に向けた期待が高まったが、交渉は停滞している=大阪で2019年6月29日、大前仁撮影
6月に大阪で開かれた主要20カ国・地域(G20)首脳会議に出席したプーチン露大統領。日本国内ではプーチン氏の訪日に先立ち、平和条約交渉の進展に向けた期待が高まったが、交渉は停滞している=大阪で2019年6月29日、大前仁撮影

 日本とロシアは年初から平和条約交渉を始めたが、袋小路に入っている。安倍晋三首相は条約締結を諦めない考えを繰り返すが、国際情勢を眺めると、交渉を後押しするような「天の時」を得られていない。現状を振り返り、今後の展望を探ってみた。

 「領土問題を解決して、平和条約を締結する。1956年(の日ソ共同)宣言を基礎として、交渉を次の次元へと進め、日露関係の大きな可能性を開花させていく」。安倍首相は10月初旬の所信表明演説で、平和条約交渉への意欲を改めて表明した。

 対露交渉を諦めない安倍首相の意向は、9月の内閣改造に伴う人事に反映したとみられている。2014年から国家安全保障局長を務めた谷内正太郎氏は、75歳の年齢を理由に退任した。しかし実態は谷内氏が慎重な対露政策を説いていたから外されたのではないか――。霞が関ではこのような見方が残るといわれる。

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