3分でわかる政治の基礎知識

強制性交罪「同意がない」だけでは罪にならない?

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性暴力に抗議して花やプラカードを手に大勢の人たちが集まった=大阪市北区で2019年5月11日午後7時10分、望月亮一撮影
性暴力に抗議して花やプラカードを手に大勢の人たちが集まった=大阪市北区で2019年5月11日午後7時10分、望月亮一撮影

 強制性交等罪に問われた元俳優の新井浩文被告の論告求刑公判が23日に東京地裁であり、検察側は懲役5年を求刑しました。検察側は「被害者は多大な恐怖心を抱いており、抵抗は困難だった」と指摘しました。

 一方、弁護側はこれまでの公判で「同意があったと誤解しており、強制性交等罪は成立しない」と無罪を主張しています。

抵抗できないほどの「暴行・脅迫」が必要

 強制性交等罪が成立するためには「同意がなかった」というだけではなく「被害者の反抗を著しく困難にさせる程度の暴行・脅迫」(暴行・脅迫要件)があったことが必要とされています。

 だから新井被告の裁判でも検察は「抵抗が困難だった」と強調したのです。一方、弁護側が「同意があったと誤解した」と言うのは、暴行の意図(故意)がなかったと主張すると同時に「抵抗を困難にさせるような暴行・脅迫はしていない」という意味もあります。

 新井被告の裁判をみても暴行・脅迫要件がカギとなっていることがよくわかります。

厳しい要件と性的偏見

 ではなぜ同意がないというだけでは有罪にならないのでしょうか。スウェーデンでは2018年に暴行・脅迫要件を削除し、同意がない性行為を犯罪としました。

 日本でも強姦(ごうかん)罪を強制性交等罪に変えた17年の刑法改正でこの点が議論になりました。

 加害者と被害者の関係性によって暴行・脅迫を必要としない性犯罪の枠組みの一つとして「監護者性交等罪」も新設されましたが、強制性交等罪には暴行・脅迫要件は残りました。

 理由の一つは同意の有無の立証が難しいと考えられているためです。冤罪(えんざい)を生む懸念もあります。

 一方で、被害者が抵抗できないほどの暴行や脅迫を受けなければ犯罪にならないという要件は他の犯罪と比べても厳しすぎるという指摘があります。

 くわえて警察官、検察官、裁判官などの司法関係者が性的偏見から自由であるとは限りません。

 厳しい要件と司法関係者の偏見が重なると被害者に不利な結果につながりかねないという懸念があります。

「同意がなければ犯罪」求めるデモ

 17年の刑法改正では「3年後に必要があれば見直しを実施する」という付帯決議がつけられました。

 性犯罪の無罪判決が相次いだことを受け、「同意のない性行為」を犯罪とするよう求めるフラワーデモが全国で起きています。

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