40代半ば ソウル下宿日記

一人暮らしで気づいた日中韓の「小さな違い」

坂口裕彦・ソウル支局長
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4畳ほどのスペースに、シャワーやトイレ、ベッドや机などが設置された「コシテル」の部屋=坂口裕彦撮影
4畳ほどのスペースに、シャワーやトイレ、ベッドや机などが設置された「コシテル」の部屋=坂口裕彦撮影

 韓国の首都ソウル西部に位置する「新村」(シンチョン)は、名門・延世(ヨンセ)大や梨花(イファ)女子大がある学生街である。海外からの留学生も多いし、食堂やカフェが軒を連ねて、なかなか活気がある。ここにある雑居ビルの6階が、40代半ばでの「海外プチ単身赴任」の新しい住まいだ。

 3、4畳しかない限られた空間を、ここまで使い尽くすのか――。

 「床も、シャワーも、きれいに掃除しておいた。あなたはもう、ここじゃ家族みたいなものだよ」。聞いてはいたが、想像以上の部屋の小ささに、目を丸くするこちらを見ながら、オーナーのおばさん(アジュモニ)は、こぼれんばかりの笑みで胸を張った。

 10月から韓国に約5カ月間、滞在できることになった。とはいえ、ずっとホテル暮らしでは、費用がかさむ。ワンルームマンションは家具をそろえないといけない。懐に優しい方法はないものか。そこで選んだのが、「コシテル」と呼ばれる、この国ならではの家具付き施設だった。

 「コシ」は、漢字で書くと「考試」(試験のこと)。そこに「ホテル」をくっつけた合成語がコシテルだ。元は、受験戦争が激しい韓国の学生を勉強に集中させるための部屋だったという。

 小さな窓が、圧迫感を薄めてくれるせめてもの救い。フロアには10以上も「勉強部屋」がひしめいている。

 とはいえ、設備面では日本のビジネスホテルとそれほど変わらない。内装はまずまずきれいだし、クローゼットやシャワー、トイレ、勉強机と椅子、テレビ、ベッドが一通りそろう。Wi-Fiもつなぎ放題だ。6階に入る玄関はオートロックで、廊下には監視カメラが複数あって、防犯対策もしっかりしている。ただし、布団だけはなぜか持ち込みだ。

 台所と洗濯機は共用だが、食器や電子レンジ、ウオーターサーバー、洗剤なども完備されている。勉強部屋からの伝統なのか、炊きたてのご飯やインスタントラーメン、キムチも食べ放題。これで光…

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坂口裕彦

ソウル支局長

1998年入社。山口、阪神支局に勤務し、2005年に政治部。外信部、ウィーン支局、政治部と外信部のデスクなどを経て、21年4月から現職。19年10月から日韓文化交流基金のフェローシップで、韓国に5カ月間滞在した。著書に「ルポ難民追跡 バルカンルートを行く」(岩波新書)。