3分でわかる政治の基礎知識

韓国で欠ける同盟の一辺 GSOMIA破棄の行方

  • 文字
  • 印刷
韓国が日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決定したことについて記者団の問いかけに答えず首相官邸を後にする安倍晋三首相(左端)=2019年8月22日午後6時28分、川田雅浩撮影
韓国が日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決定したことについて記者団の問いかけに答えず首相官邸を後にする安倍晋三首相(左端)=2019年8月22日午後6時28分、川田雅浩撮影

 軍事情報包括保護協定(GSOMIA)は、国同士が防衛上の秘密を共有する際に目的外使用や第三国に漏れることを防ぐために結ぶ協定です。

 日韓では2016年11月に締結されました。効力は1年で、期間満了の90日前に破棄を通告しない限り、自動延長されます。韓国は今年8月23日に日本政府に破棄を通告しました。このままならば11月23日に失効します。

 GSOMIA締結以前は日韓は米国を経由して情報をやりとりしてきました。しかし、日米同盟は朝鮮半島有事を強く意識したものです。日米韓の三角形の一辺が欠けていることは長年にわたる懸案でした。

12年に署名キャンセル

 もともと韓国世論には日本との防衛協力自体に強い抵抗があります。日韓がGSOMIAの交渉で合意したのは11年1月で、12年4月の仮署名を経て同年6月に署名式が予定されていました。

 ところが署名式は1時間前になって韓国側から突然キャンセルされました。当時の李明博(イ・ミョンバク)政権が半年後の大統領選への影響を恐れたためです。李政権は保守系ですが、それでも世論の批判を恐れて締結に踏み切れなかったのです。

「死に体」朴政権の置き土産

 16年の締結は、北朝鮮が核実験や中距離弾道ミサイル発射を繰り返したため、危機感を抱いた日米が韓国に働きかけたためです。当時の朴槿恵(パク・クネ)政権は、朴氏の親友の国政介入疑惑でレームダック(死に体)化していました。次期大統領選では革新系が有利とみられており、保守系の朴氏は政権末期の「置き土産」として、世論の批判を覚悟で締結したのです。

文氏は就任前から見直し示唆

 このため、革新系の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、17年の大統領選当時から協定見直しを示唆していました。今年8月の破棄通告は、日本の対韓輸出規制の閣議決定(8月2日)を受け、韓国の国内世論にアピールするための策という側面があります。これまでの経過を考えれば、いったん破棄されると再締結は困難とみられます。

中国、北朝鮮を利する

 日本国内にも米国を介して情報共有していた16年以前に戻るだけだという見方もあります。しかし実務面もさることながら、日米韓が軍事情報の共有を巡って食い違いを見せること自体、中国や北朝鮮を利することになります。

 米国は破棄通告を深刻にとらえ、たびたび韓国に再考を求めています。スティルウェル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は10月26日に東京都であった記者会見でGSOMIAについて「日米韓の安全保障にとても有益だ。韓国側に協定に戻ることを促したい」と述べました。(政治プレミア編集部)

 <政治プレミアトップページはこちら