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「就職氷河期」の弊害、どうしたらいい? 塩村文夏議員の寄稿に

西田亮介・東京工業大学准教授
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西田亮介さん
西田亮介さん

 人手不足に伴う新卒就職活動における売り手市場化が常態化した現状からすれば、就職氷河期や就職氷河期世代といわれても、とくに若い読者諸氏にはいまいちピンとこないかもしれない。だが、バブル崩壊後の「失われた30年」を踏まえると、いまの売り手市場は決して当たり前のことではないのである。

 政府の「就職氷河期世代支援プログラム(3年間の集中支援プログラム)の概要」によれば、「就職氷河期世代」とは、現在「30代半ばから40代半ば」というから、1970年代半ば~1980年代半ば生まれ世代のことを指す。

 いわゆる団塊ジュニア世代から少し下の世代までのことだ。筆者も該当する。

 ポイントは人口の多さである。団塊ジュニア世代の出生数は世代あたりで200万人を上回る。それに対して現在の20代は120万人前後、最近では100万人を割り込むようになったことが知られている。この世代は90年代後半~2000年代前半に就職活動の時期を迎えたが、バブル崩壊の余波で、大手各社が人件費抑制のため新卒採用を大幅に抑制した。

 当時、政府や経済界は、日本経済が雇用、設備、債務という「三つの過剰」を抱えていると見なし、それらの削減策に奔走した。企業都合の整理解雇が難しい日本社会において、新卒採用の抑制はそのひとつの手法だった。その影響を被ったのがこの世代だったことになる。

 当事者らではなく、政治と社会が対策を怠ったツケは大きい。先行世代と比べて、非正規職や条件のよくないポストに甘んじ、所得、職業能力の蓄積が十分に行われなかった。その影響は少子化や社会保障にまで及ぶ。親の数が減少してしまった以上、日本の少子化と人口の近い将来の回復は望めなくなった。社会保障システムは大幅な変更が求められながらも、00年代の大幅改正以後、声の大きな年長世代の顔色をうかがいながらの調整ばかりが目立つ。

 塩村文夏氏の寄稿は氷河期世代の苦悩の片りんを物語る。希望の職に就くことができず、職を転々としながら、年齢を重ねていくことの厳しさもある。働き方が生活や家族、社会保障と密接につながっていることがよくわかる。将来に希望が見いだせないという人は少なくないだろう。

 対策が望まれるなか、政治もようやく重い腰を上げた。政府は「就職氷河期世代支援プログラム」を立ち上げ、3年間という期間を区切って集中的に対策を行うという。対象を「人生再設計第一世代」と呼び、30万人の正規雇用化を目指すという。しかし中身を見てみると、あまり目新しい政策はなく、00年代に入って本格化した従来型の若年世代向けの就労支援をトレースするような施策が目立ち、成果への疑問点も残る。

 読者の皆さんは「就職氷河期世代」の諸問題を解決するためにどのような対策が必要だと考えますか? 「就職氷河期世代支援プログラム」について、どうしたらいいと思いますか? 当事者世代、それ以外の皆さんからの積極的なコメントを期待します。

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西田亮介

東京工業大学准教授

1983年生まれ。博士(政策・メディア)。専門は社会学、公共政策学。著書に「ネット選挙--解禁がもたらす日本社会の変容」「情報武装する政治」。ツイッター @Ryosuke_Nishida