「2世」から「たたき上げ」へ転換 安倍最長政権の理由

田中秀征・元経済企画庁長官
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田中秀征さん=宮武祐希撮影
田中秀征さん=宮武祐希撮影

 この11月20日、安倍晋三首相の通算在任期間は桂太郎元首相の記録(2886日)を抜いて歴代1位となる。ちなみに連続在任期間でも、来年8月24日に、大叔父の佐藤栄作元首相の記録(2798日)を抜くという。

 それでは、なぜ安倍政権がこんなにも長く続いてきたのか。思いつくままに、その要因らしきものを挙げてみよう。

 (1)あまりにめまぐるしい不毛な政権交代に対する国民的反省があった。小泉純一郎首相の退陣(2006年)時から、第2次安倍内閣の発足(12年)時までの間に6人の首相。ひどすぎる短命政権が続き、国民はこりごりしていた。

 (2)期待していた民主党政権への絶望も決定的であった。民主党が分解した後も、旧民主党指導者による野党再編への不信感は根強く、そのことが長期政権化の大きな要因となった。

 (3)ライバル政党が存続しないだけでなく、自民党内に比肩できる有力なライバル政治家が存在しなくなった。

 (4)準備不足の第1次安倍内閣の失敗で多くを学んでいる。結果的には第2次内閣へのリハーサルとなった。特に人事では学ぶところが大きかったように見える。

 (5)祖父(岸信介元首相)譲りの強運を持ちあわせている。岸元首相は政敵・緒方竹虎の急死、石橋湛山の病気退陣によって急浮上した。

 (6)おりから冷戦後のナショナリズムの世界的風潮と右翼化の流れが援護した。

 (7)登場当時の東アジアは、中国、北朝鮮、韓国…

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田中秀征

元経済企画庁長官

1940年長野県生まれ。東京大学文学部西洋史学科、北海道大学法学部卒業。83年衆議院議員初当選。93年6月に新党さきがけを結成し代表代行に就任。細川護熙政権の首相特別補佐。第1次橋本龍太郎内閣で経済企画庁長官などを歴任。福山大学教授を30年務め、現在、福山大学客員教授、さきがけ新塾塾長。主な著書に「日本リベラルと石橋湛山――いま政治が必要としていること」(講談社)、「判断力と決断力――リーダーの資質を問う」(ダイヤモンド社)、「自民党本流と保守本流」(講談社)、「平成史への証言」(朝日新聞社)。