非常中国

おひとり様、中国で急増中 多様な生き方に賛否も

浦松丈二・中国総局長
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ぬいぐるみの隣で鍋料理を食べる中国のおひとり様=浦松丈二撮影
ぬいぐるみの隣で鍋料理を食べる中国のおひとり様=浦松丈二撮影

 1が並ぶ11月11日はパートナーがいなくても1人で楽しむ「独身の日」。中国のネット通販大手アリババが2009年に初開催した「独身の日セール」から広がったといわれる。今では、1人鍋、1人カラオケ、独身向けスナック菓子など中国では「おひとり様」サービスが大盛況だ。

 中国の婚姻率は18年まで5年連続で低下、離婚率も15年連続で上昇している。中国メディアによると、未婚、離婚を合わせた独身人口は約2億4000万人(18年推計)に達した。住居費の高騰で新居が用意できないという経済的な結婚難だけでなく、家庭に縛られない多様な生き方を選択する若者が中国で増えたことが背景にあると指摘される。

 しかし、「一人っ子政策」下で大切に子どもを育てた多くの親世代にとって、我が子が子孫を残さない「おひとり様」になることは耐えられないらしい。習近平国家主席も「家庭、しつけ、家風を重んじてほしい」と呼びかけている。おひとり様を巡る中国の世代間ギャップは底なしに深い。

 まずは、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上にあふれる「おひとり様」のつぶやきを聞いてほしい。

ぬいぐるみと一緒に1人鍋

 「1人鍋、店に入ると『おひとり様ですか』と聞かれ、店員さんが(さみしくないようにと)ぬいぐるみを抱いてきた。鍋からスープもよそってくれた。失恋ソングが流れて涙がこぼれた時には、店員さんが慌てて『面白い話をしましょうか』と気を使ってくれた。この店、大好きだな」

 中国では冬に羊肉などのしゃぶしゃぶ「火鍋」をよく食べる。大皿料理が多くおひとり様には難度の高い中国料理の中でも最難関といえる。中国の火鍋チェーン「海底撈(かいていろう)」は、おひとり様サービスのある火鍋店として話題になった。

 おひとり様のテーブルには希望に応じて大きなぬいぐるみを置いたり、店員がゲームの相手をしたりする特別サービスを提供する。それらを断ると…

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浦松丈二

中国総局長

1991年入社。佐世保支局、福岡総局、外信部を経て、98~99年台湾師範大学留学。中国総局(北京)、アジア総局(バンコク)で計12年勤務。現在は中国語圏の若者カルチャー、文化交流などを取材している。