「宝探し」のうまさ競う大学入試に疑問

松井孝治・元官房副長官
  • 文字
  • 印刷
松井孝治氏=内藤絵美撮影
松井孝治氏=内藤絵美撮影

 最近、大学入学共通試験の国語の記述式問題の導入が話題になっています。記述型試験の採点は、なかなか容易なものではなく、採点者間でよほど綿密な擦り合わせや価値観の共有がないと、中立公正な選抜が確保されないことは当然だと思います。

 しかし同時に、選択式の設問が、受験者にとって中立公正で理想的な試験の方法かと言えば、必ずしもそうとも言えないと思います。

筆者の意図か、作問者の解釈か

 記述式、選択式の問題からは離れますけれど、一つの経験談を紹介させてください。例によって長くなりますが、ご容赦ください。

 私は、6年半ほど前から、我が国における近代批評の祖ともいうべき小林秀雄氏の最後の編集者である池田雅延氏を師と仰いで、極めてゆっくりとではありますが、小林秀雄氏の著作を少しずつ読み進めています。私にとっての池田師の第1講は2013年早春のことでした。課題は、あらかじめその年のセンター試験に出題された「鐔(つば)」を読み、試験問題を解いておくことでした。受験用の現代文の問題に向かうのは、その当時ですでに三十数年ぶりのことでした。

 新橋から戸塚まで、たまたまがら空きの東海道線のボックスシートでおもむろに問題文を前にすると、鼻の奥がツーンとするような緊張感がよぎり、懐かしい感覚がよみがえります。ざっと本文を斜め読みした後、まず漢字の問題など単純小問をさっと処理し、次に設問の選択肢を確認します。

 問われ…

この記事は有料記事です。

残り2776文字(全文3376文字)

松井孝治

元官房副長官

1960年生まれ。83年旧通商産業省入省、94年から首相官邸出向。2001年参院選で京都選挙区に民主党から出馬し、初当選。09年鳩山内閣で官房副長官。参院議員を2期務め13年政界引退。慶応大総合政策学部教授。19年、有志とともにシンクタンク・創発プラットフォームを設立。