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切り捨てに不安 公立病院再編

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厚生労働省が再編・統合の必要性を指摘した兵庫中央病院=三田市大原で2019年9月27日、粟飯原浩撮影
厚生労働省が再編・統合の必要性を指摘した兵庫中央病院=三田市大原で2019年9月27日、粟飯原浩撮影

 厚生労働省は9月に再編・統合を促す424の公立・公的病院を公表しました。何が狙いなのでしょうか。

「2025年度まで」

 ポイントは「2025年度までに統合を終える」というところです。25年はいわゆる団塊の世代(1947~49年生まれ)が全員75歳以上になる年です。人口の多いこの世代が医療費や介護費のかかる後期高齢者になることで社会保障費が急増すると予想されています。

 以前から「2025年問題」として知られ、政府は準備を進めてきました。消費税率10%への引き上げもその一つです。消費税が10%になったこの時期にあわせて厚労省が公表(9月26日)したのは偶然ではありません。

 25年度までに医療費などを効率化する必要があり、そのための再編・統合なのです。

公立病院の赤字をどう考えるか

 公立病院の再編は長年にわたる課題でした。経営が厳しく約6割が赤字だといわれています。自治体の財政にも負担となってきました。公立であるために経営の効率化が進まず、赤字が続いているとの指摘もあります。

 一方で公立病院は離島や人口の少ない地方など、民間では経営が成り立ちにくいところ、言い換えれば赤字が出やすいところに作られてきた歴史があります。公立病院に経営努力の不足があったとしても、それだけのせいにはできません。

高齢者人口は増加

 人口減少社会といいますが、65歳以上の高齢者人口は40年まで増え続けます。日本は高齢者に限っていえばまだしばらくは「人口増社会」なのです。病院へのニーズは増えこそすれ、減ることはありません。

 だからこそ、一部を統合しても効率化して公立病院が生き残れるようにするのか、赤字は覚悟で住民のニーズに答えることを最優先とするのか、難しい問題です。

 各社の社説を見ても微妙な違いが浮かびます。毎日新聞の社説は<公的病院の再編・統合 逆にゆがみを広げないか>(9月29日付)と指摘しました。朝日新聞の社説は<病院の再編 丁寧な合意の形成を>(11月4日付)としています。一方で、読売新聞の社説は<公立病院再編 地域の実情踏まえ検討を急げ>(10月13日付)とやや前向きでした。

病院は地域存続に不可欠

 病院は学校と同様、地域社会の存続に不可欠なものです。出産する場所がない、いざという時に駆け込める病院がない、ということになれば、人は離れていきます。

 以前に896市区町村が「消滅可能性都市」としてあげられ、衝撃を与えました。厚労省の発表に懸念が出ているのは、効率化を理由に地方が切り捨てられるのではないかという不安が背景にあるためです。(政治プレミア編集部)

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