クトゥーゾフの窓から

日露の架け橋(8)「踊りに国境ない」日舞とバレエ、舞台「信長」で一つに

大前仁・モスクワ特派員
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コラボ演目「信長」の公演を控え、振り付けの確認をするファルフ・ルジマトフさん(左)と藤間蘭黄さん=サンクトペテルブルクで2019年11月10日、大前仁撮影
コラボ演目「信長」の公演を控え、振り付けの確認をするファルフ・ルジマトフさん(左)と藤間蘭黄さん=サンクトペテルブルクで2019年11月10日、大前仁撮影

 日露両国は今年6月まで「日露交流年」を設け、多くの文化行事を開催した。目玉行事の一つとして行われたのが、今年1月のロシア公演、日本舞踊とバレエのコラボレーション演目「信長」だ。

 11月末に東京都内で行われる再公演を前に、主役の一人を演じた日本舞踊家、藤間蘭黄(ふじま・らんこう)さん(57)に東と西の文化が融合した舞台について尋ねた。

 「信長」は織田信長が家臣の明智光秀や豊臣秀吉と愛憎を交えながら、戦国の乱世を生き抜く姿を描いた演目である。藤間さんが2010年にロシア・バレエの名ダンサー、ファルフ・ルジマトフさん(56)の公演を鑑賞し、鬼気迫る踊りが信長のイメージに重なると感じたことが作品を構想するきっかけとなった。

 15年と17年に東京都内で上演されて、ルジマトフさんが信長、藤間さんが光秀と斎藤道三の2役を演じ、ロシア国立ボリショイ・バレエ団の名脇役として知られた岩田守弘さん(49)が秀吉役を踊った。

 今年1月のロシア公演では、第2の都市サンクトペテルブルク、東シベリアの都市ウランウデ、首都モスクワで続けて上演された。一連の公演では劇場で必要とされる機材がなかったり、日本との湿度の違いから和楽器の状態が変わったりしたが、一行はどうにか乗り切った。リーダー格の藤間さんは「この熱気が残っている19年のうちに、再び日本国内で公演しよう」と決意し、11月27、28日に浅草公会堂で自主公演を催す。

 藤間さんと岩田さんは11月中旬、ルジマトフさんが活動拠点とするサンクトペテルブルクに赴き、「信長」の振り付けの確認に臨んだ。前回の公演から10カ月ほどたっていたが、3人とも曲を聴けば、自然に動きを思い出したという。当初は3日間の稽古(けいこ)を予定していたが、順調に進んだことから2日間で切り上げたという具合だ。

「踊りに国境はない」

 通算4回目となる公演を控え、藤間さんは3人の踊り手が「4…

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大前仁

モスクワ特派員

1969年生まれ。1996年から6年半、日経アメリカ社でワシントン支局に勤務。毎日新聞社では2008年から13年まで1回目のモスクワ支局に勤務。