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米が大幅増を要求?「思いやり予算」の居心地の悪さ

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トランプ米大統領=西田進一郎撮影
トランプ米大統領=西田進一郎撮影

 「思いやり予算」は正式には「在日米軍駐留経費負担」と言います。米国の外交専門誌が、米国が日本に対して現在の年間約20億ドルから4倍の80億ドルに引き上げるよう求めたと報じ、話題になっています。

 菅義偉官房長官は記者会見で「そのような事実はない」と否定しました。

トランプ氏は以前から不満

 トランプ米大統領は以前から米国の同盟国は米国の供与する安全保障に対して正当な対価を支払っていないとする主張を繰り返してきました。

 日米安全保障条約についても「不公平」だと主張し、今年6月に主要20カ国・地域(G20)首脳会議で来日した際には「日本が攻撃されたら米国は日本のために戦わなくてはならない。米国が攻撃されても日本は戦わない」と発言しました。

 在韓米軍駐留経費の交渉では、米国は韓国に対して大幅な増額を求めています。日本は駐留経費について5年ごとに米側と特別協定を結んでおり、2021年3月末が期限となるため、来春から交渉が本格化する見通しです。

 このため、「4倍」かどうかはともかく、米側が大幅な引き上げを求めてくるのではないかという懸念は以前からありました。

日本は他国より負担割合が高い

 米軍基地で働く日本人従業員の労務費や光熱費などは本来は米側が負担すべき項目です。しかし、1970年代後半から労務費の一部や施設整備費を、87年度以降は従業員の基本給や光熱費なども日本が負担するようになりました。

 そして、2004年に米国がまとめた資料によると米軍駐留経費に占める負担割合は、韓国やドイツなどが3~4割なのに対し、日本は7割以上です。

トランプ氏の駆け引き?

 日本や韓国に対して駐留経費負担増の話が出るのは、トランプ氏流の駆け引きだとの見方もあります。同盟国に対して優位に立てる軍事面のカードをちらつかせることで、通商交渉などの他分野で譲歩を引き出そうとしているという見方です。

 在日米軍は日本の安全保障に不可欠ですが、米軍も日本に駐留することによってアジアでの存在感を維持し、米国自身の安全保障にも役だっています。日米安保はトランプ氏が言うような一方的な関係ではありません。

 「思いやり予算」という言葉は当時の金丸信防衛庁長官が「思いやりをもって対処すべき問題」と発言したことにちなむものです。

 政府、外務省は公式の場では「思いやり予算」という言葉は使いません。しかしすっかり定着してしまったのは、日米関係の本質をついていると思わせる部分がどこかにあるからかもしれません。(政治プレミア編集部)

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