
訪日外国人が急増しています。2013年に初めて1000万人を突破して以降、16年には2000万人を突破、18年には3000万人を超えました。そして政府は東京五輪・パラリンピックがある来年20年には4000万人を目標としています。
もはや「主要輸出品目」
背景にはアジア諸国の経済発展があります。インバウンドといわれる訪日観光客はいまや日本経済にとって欠かせない存在です。19年度版観光白書によると、18年の訪日外国人旅行消費額は4.5兆円で、国内旅行消費額26.1兆円のうち約17%を占めます。特に割合の高い東京や大阪では旅行消費額のうち4割以上がインバウンド消費です。
日本にとって2番目の輸出品目である半導体等電子部品の輸出額が4兆1500億円(18年)ですから、もはやインバウンド消費は日本の「主要輸出品目」といってよいでしょう。
受け入れ態勢に限界
ただし、あまりにも急激に増加したため、弊害も起きています。京都市の門川大作市長はホテルなどの宿泊施設について「市民の安心安全と地域文化の継承を重要視しない宿泊施設の参入をお断りしたいと宣言する」と述べ、新規開業に歯止めをかける方針を表明しました。
観光庁が自治体に行った調査で問題としてあげられたのは「観光バスによる渋滞」「公共交通機関の混雑」「トイレの不適切な使用」「住宅地などでのごみ投棄とごみの増加」「深夜の騒音」「開発による景観や自然環境への影響」などでした。
カギは「分散化」
トラブルの背景に「文化の違い」を指摘する声もありますが、急増する観光客に受け入れ態勢が追いついていないのが実情のようです。来年の東京五輪の際にはこれらの課題が一層深刻化することが予想されます。
清野智・日本政府観光局(JNTO)理事長は毎日新聞のインタビューで「分散化」が必要だとしています。消費額を見てもわかるように、まだまだ訪日観光客は東京、大阪、京都、奈良などの有名観光地や都市部に集中しています。
地方に分散してもらえれば、門川京都市長が問題にするような観光地への過度の集中が緩和されると同時に、地方の活性化にも役立ちます。いずれにせよ人口減少が続く日本では、訪日外国人観光客はいまや死活的に重要な問題であることは確かです。
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