GSOMIA失効回避は日韓関係改善への一歩

岩屋毅・前防衛相
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岩屋毅氏=藤井太郎撮影
岩屋毅氏=藤井太郎撮影

 今年8月に、防衛相として韓国の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄通告を受けた際には本当に驚き、残念だった。旭日(きょくじつ)旗やレーダー照射の問題などをめぐって日韓関係は悪化してはいたが、私自身、韓国の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相と2度にわたって会談し、日韓防衛協力の維持と関係修復に努めてきたからだ。

 それだけに今回、直前で失効が回避されたことは評価できる。日本とともに米国も一貫して韓国に再考を求めてきた。

 安全保障協力関係がしっかり維持されることが、日韓のさまざまな外交問題の解決のために話し合いをする土台にもなる。韓国側にしてみれば大きなメッセージだ。妥協できない難しい問題は多くあるけれども、少なくとも話し合いをする環境に向けて進んだと思う。

 GSOMIAは北朝鮮の弾道ミサイルについての情報分析などで日韓双方にとって有意義なものだ。発射地点の情報により詳しい韓国と着弾地点の情報により詳しい日本とが情報を突き合わせれば、全体像をより正確に分析できる。

 一方で、日本は米国としっかり連携している。韓国とGSOMIAを締結する以前の2016年までは米国経由でも情報のやりとりはしていた。

 しかし、それ以上にGSOMIAは日米韓が安全保障で連携をしているシンボルだ。失効した場合は日米韓の安全保障上の協力が緩むという誤ったメッセージを与える恐れがあった。

 韓国が破棄を通告した翌日の8月24日に北朝鮮が弾道ミサイルを発射した。北朝鮮も地域情勢を見ている。北朝鮮の意図としては破棄通告のタイミングをとらえて、間隙(かんげき)を突こうとしたのではないか。

 韓国は破棄通告について、日本の輸出管理政策への対抗措置だと主張していた。しかし、日本の措置は安全保障上、厳格な取り扱いが必要な物資が第三国に流出する懸念によるものであって、韓国と安全保障面で協力することに問題があると言っている…

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岩屋毅

前防衛相

1957年生まれ。大分県議を経て、90年衆院初当選。防衛政務官、副外相などを歴任した。衆院大分3区、当選8回。自民党麻生派。