日米貿易協定 安倍政権が隠したい不都合な実態

舟山康江・参院議員
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舟山康江氏=高橋恵子撮影
舟山康江氏=高橋恵子撮影

 日米貿易協定の問題を挙げればきりがない。安倍政権はあれだけ米国との2国間交渉はしないと言っていたのに、なぜ環太平洋パートナーシップ協定(TPP)を離脱した米国の要求を唯々諾々と受け入れたのか。しかもこの2国間交渉はあまりにも短期間過ぎる。日豪経済連携協定(EPA)は交渉から合意まで7年、TPP11は米国の離脱という事態をはさみ7年8カ月、日欧EPAも4年8カ月と時間をかけて交渉しているが、今回はたった5カ月。閣議決定も持ち回り閣議で行われ、相当急いだことが見てとれる。

さらなる自動車の関税撤廃などありえない

 しかも一方的にTPPを離脱した米国に「TPP水準ならOK」とメッセージを出したこと自体が国益を損ねている。同水準でいいならTPPに引き込めばいい。それができないのは米側が「取るものは取るが、何も譲らない」という交渉スタンスを取っていたからだ。交渉は「ギブ・アンド・テーク」。それなのに最初から譲っていたらそれ以上の交渉はできない。

 政府は自動車や自動車部品の追加関税を回避できたことを成果と主張するが、日本は追加関税そのものの世界貿易機関(WTO)との整合性を問うべきだった。追加関税は、米通商拡大法232条で安全保障に脅威となる場合に課すことができるものであり、米国内では議論の末、条件に「該当する」という結論に達したようだが、果たして自動車輸入と安全保障はどう関連するのか。ご都合主義的な一方的解釈だと私は考える。

 にもかかわらず、日本はTPP水準だといってあっさり農産品を差し出し、自動車部門は結局、関税撤廃もできず現状のまま。今後の交渉で関税撤廃を勝ち取る、と強弁しているが、今の関税率でさえ米国にとっては“安全保障上の脅威”として追加関税をちらつかせてきたのに、撤廃して“さらなる脅威”を増やすことをアメリカ側が受け入れることは理屈からしてあり得ない。

 政府は米側の関税撤廃率…

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舟山康江

参院議員

1966年生まれ。農林水産省を経て、2007年参院初当選。農水政務官などを歴任。参院山形、当選2回。無所属。