浅尾慶一郎「将来を語る」

キャッシュレス還元からのヒント「タンス預金」を表に出せ

浅尾慶一郎・元衆院議員
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浅尾慶一郎氏=太田康男撮影
浅尾慶一郎氏=太田康男撮影

 10月から消費税が10%になりました。同時にクレジットカード、デビットカード、電子マネー、QRコードなどの電子的な決済手段を用いて中小事業者で支払いする場合に5%還元、中小のフランチャイズ加盟事業者におけるお買い物については2%を消費者に還元する制度も導入されました。

 この制度が導入されたのは消費増税の影響をできるだけ低減させたいという狙いからです。同時に我が国がおくれを取っているキャッシュレスをこの機会に進めたいという政策目的もあります。ゼロ金利の現在、引き続き現金決済比率の高い我が国の状況は銀行経営のコスト増にもつながっています。警備員付きの現金輸送車で現金自動受払機(ATM)に現金を入れていくコストもバカにならないようです。

中国はキャッシュレス先進国

 では日本における現金の割合はどれくらいでしょうか。それを他国と比較するのにお札の総量が経済規模と比べてどれくらいかでみることとします。まず、発行銀行券の総残高は約100兆円です。これを対名目国民総生産(GDP)比で見るとGDPの2割となります。米国ドル紙幣の残高が4500億ドル(50兆円弱)で名目GDPの約8%。ユーロ紙幣が5000億ユーロ(50兆円強)でユーロ経済圏の約9%ですから、日本のお札が対GDP比で圧倒的に多いことが分かります。

 世界中で流通している米ドルが米国経済の規模の8%なのに、日銀券が日本経済の規模に対して20%もあるのは、いかに“脱現金”が進んでいないかという証左です。

 かつて日本と同様あるいはそれ以上に現金大国であった中国は、今では老若男女を問わずスマホを使ったQRコード決済に移行しました。2016年のデータで、キャッシュレス決済の比率は日本が19.8%。一方、15年のデータですが、中国は約60%に達しているそうです。日本に旅行に来る観光客が一番困るのは停電によってスマホに充電ができないと支払いができなくなることだという笑えない現実もあるようです。

タンス預金化している日本のお札

 経済規模に対してお札の量が多いということは、日本のお札があまり仕事をしていないということになります。お札が人から人へ渡るスピードが早くなれば当然のことですが、個々のお店の売り上げが増えます。逆に言えば、発行されたお札があまり流通せず、タンス預金化しているという点が問題なのです。

 少し古い数字になりますが、0…

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浅尾慶一郎

元衆院議員

1964年生まれ。87年日本興業銀行入行、98年参院議員初当選(神奈川選挙区)、2009年衆院初当選(比例南関東)。17年衆院選で落選。みんなの党政調会長、幹事長、代表を歴任した。外交安保の政策通として知られる。