逢坂誠二の「耕雲種月」

タクシーは「地域インフラ」 維持のため運賃改定を

逢坂誠二・衆院議員
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逢坂誠二氏=長谷川直亮撮影
逢坂誠二氏=長谷川直亮撮影

突然の運賃改定見送り

 10月1日の10%への消費増税にあわせて全国99運賃ブロックの半数近い地域で、タクシー運賃の改定が予定されていました。しかし、国土交通省は8月30日、増税2%分の値上げだけを認め、増税と共に行われる通常の運賃改定を急きょ、見送りました。

 当初、認可する方針で周知もしていた国交省は、増税後の景気への悪影響を懸念する安倍晋三首相の意向をくんで、突然方針転換したのです。この改定を機に中型車・小型車を一本化して普通車に統一し、乗り場改修の準備作業も急いでいた地域も多くあり、タクシー業界には激震が走りました。

夜中に女性が1人で乗れる

 タクシー運賃の改定は全国99運賃ブロックごとに申請し認可する仕組みです。その申請前には地域協議会で消費者団体代表も加え自治体、警察、運輸局、事業者代表、運転者代表、学識経験者などが協議をします。また運賃ブロック内の事業者全車両の70%の賛成がなければ改定の手続きを始められません。こうしたハードルをクリアしたうえで約3カ月間の審査に入ります。このように運賃改定は簡単なものではありません。

 今回は48ブロックで、増税分に加え本体を1~2割程度値上げすることと初乗り距離短縮料金を下げる申請がありました。もっとも、消費者にとってはできることなら運賃改定は避けてほしいものですし、事業者にとっても改定によって需要が減少し最終的に会社の利益や運転者の賃金が減ることになるリスクがあります。だからこそ運賃改定は慎重であるべきものです。

 今回、多くのタクシー事業者の皆さんが運賃改定を切望したのは、長期不況による利用者の減少や他の交通機関の発達に加え、車両保険の値上げやキャッシュレス決済拡大による手数料負担の増加、サービスの一環である車両の代替、働き方改革に適応する運転者の賃金の向上、福利厚生への対応など、いわゆる安全や質の良いサービスを担保していくための諸経費を多少なりともカバーするための改定です。

 旅客運送事業はそれほど安全・安心にコストをかけているのです。だからこそ夜間に女性一人や、酔って車内で寝てしまっても、安心して目的地へ行けるのだと思います。また、街中を走るタクシーはそれだけで地域住民の安心感につながっています。ドライブレコーダーの導入も進められ、防犯にも以前から貢献してきました。タクシーという地域のインフラを維持・継続するの…

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逢坂誠二

衆院議員

1959年生まれ。北海道ニセコ町長を経て、2005年衆院初当選。総務政務官、首相補佐官、立憲民主党政調会長などを歴任。衆院北海道8区、当選4回。立憲民主党。ニセコ町長時代に全国初の自治基本条例となった「ニセコ町まちづくり基本条例」を制定。地方自治のエキスパートとして知られる。