
「IR」という言葉に聞き覚えはあるでしょうか。新聞では「カジノを含む統合型リゾート(IR)」と表現しています。「IR」はカジノだけではないことを強調する名称ですが、カジノがなければ成り立たない施設であることに変わりはありません。
ギャンブル依存症は病気
カジノについてはギャンブル依存症への懸念があります。北海道では知事が誘致を断念しました。開発による環境破壊への懸念のほか、道民のアンケートで約7割が「不安」と回答したことなども影響したとみられます。
ギャンブル依存症対策は精神疾患の一つとされ、政府も専門的な医療機関の整備などを進めています。
今年4月には競馬や競輪などの公営ギャンブルやパチンコの事業者に施設・店舗からの現金自動受払機(ATM)撤去を求める基本計画が閣議決定されました。
身近にATMがあると際限なくおカネを使ってしまうという理由からで、いかに依存症が深刻かがうかがわれます。
目当ては外国人
懸念があるのに、なぜ誘致が進むのでしょうか。目的は外国人観光客誘致です。
人口減少が進む日本で国内だけを相手にしていては観光の先細りは必至です。一方で中国をはじめとするアジアでは経済発展とともに平均所得も向上し、これからも成長が見込めます。
政府は2020年には4000万人の外国人訪日客を誘致する目標を掲げています。もはや日本経済の成長には欠かせない国家戦略です。IR誘致はその一環なのです。
中韓と競争
もっともアジアには中国のマカオ、韓国、シンガポールなど、すでに多くのカジノ施設があります。飽和状態にあるという見方もあり、日本がこれから参入したとしても、成功する保証はありません。
政府は最大3カ所に整備する予定で、大阪府・市▽長崎県▽和歌山県▽横浜市――の4地域が誘致を正式に表明しています。外国人観光客が日本に求めているものがカジノなのか、十分検討する必要があります。(政治プレミア編集部)
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