Social Good Opinion

次世代のメディアを考える

小澤茉莉・TSUNAGU理事
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一般社団法人TSUNAGU理事の小澤茉莉さん=佐々木順一撮影
一般社団法人TSUNAGU理事の小澤茉莉さん=佐々木順一撮影

 12月からの新企画「Social Good Opinion」がスタート! この企画では、「Z世代」が考える「ポジティブな社会をつくるためのヒント(オピニオン)」をお届けします。

 今月のテーマは「次世代のメディアを考える」。10代でスマートフォンを所持し、SNSを駆使する「Z世代」。国内外を問わずあらゆる情報をキャッチし、グローバルな感覚で活動をしています。そんな彼らが思う「メディア」とは?

「Z世代」とソーシャルグッド

 「社会に良いムーブメントを起こしたい」という「ソーシャルグッド」の思いは、Z世代の軸になっているように感じます。例えば、グレタさん(スウェーデンを拠点に世界各国で活動を広げる16歳の環境活動家)に代表されるような「グローバル気候マーチ」。今年9月のマーチには、日本では23都道府県で5000人以上、世界では400万人もの人々が参加したそうです*1。

地球温暖化対策の強化を求めてデモ行進する大学生ら=東京都新宿区で2019年11月29日、岩崎歩撮影
地球温暖化対策の強化を求めてデモ行進する大学生ら=東京都新宿区で2019年11月29日、岩崎歩撮影

 私自身も参加し、高校生や大学生の多さに驚くとともに、同世代だけでなくさまざまな所属の方が団結する姿にエネルギーをもらいました。先週11月29日にも、全国各地でマーチが実施されました。

 *1:「グローバル気候マーチ」(https://ja.globalclimatestrike.net/0920-2/

 世界中の若者らが中心になって各国政府に地球温暖化対策の強化を求めるデモ「グローバル気候マーチ」が29日、150カ国以上で実施された。来月2日に始まる国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)を前にした一斉行動。国内では25都府県で企画され、大学生らが声を上げた。

【毎日新聞 2019年11月30日 東京朝刊】

 「ただ声を上げるだけでは、何にもならないのでは?」という意見も聞かれるものの、声を上げている若者一人一人の意識は着実に「行動」に移っています。実際に団体や会社を立ち上げたり、メディアをつくって発信したり……。個人からマスへ、行動の波を起こす同世代が増えていると感じます。

 そういう私自身は「エシカルファッション」のブランドを運営しています。「エシカルファッション」とは、労働や環境に配慮したファッションのこと。特に低価格で購入できるファストファッション産業を中心に、環境汚染や低賃金労働など環境・労働などに関するさまざまな社会課題を抱えており、2013年にバングラデシュで起こったラナ・プラザ崩落事故をきっかけに世界各地でファッションの在り方を見直す動きが強まっています*2。

 私がこういった現実を知ったきっかけは、ファストファッションの裏側に迫ったドキュメンタリー映画でした。大学では国際協力の分野を中心に、日本だけでなく世界的な問題を勉強していることもあり、身近な「ファッション」がこうした問題の根っこの一つであることにとても衝撃を受けました。同時に、タイで地域のものづくりに注目したアパレルブランドへの訪問も経験し、実際に生産されている過程を見るだけでなく、生産者と消費者の交流を通して「つながり」を生み出せるものづくりにとてもひかれました。そして、日本でもそういったコミュニケーションが生まれる「エシカルファッション」を追求したい気持ちに駆られました。

 そういった中で、ファストファッションのブランドでデザイナーを経験した後、衣服の大量廃棄への問題意識や東日本大震災をきっかけに草木染めのランジェリーブランドを立ち上げた女性と出会い、昨年同世代の仲間たちとともに「TSU.NA.GU.」という日本のものづくりに注目したエシカルファッションブランドを立ち上げました。学生から社会人まで多様なメンバーが集い、商品開発からイベント、講演の実施など活動を広げています。

徳島県の藍染めとコラボレーションしたアイテムを商品開発。日本発の「エシカル」を発信しています。(筆者提供、撮影:廣野量子さん)
徳島県の藍染めとコラボレーションしたアイテムを商品開発。日本発の「エシカル」を発信しています。(筆者提供、撮影:廣野量子さん)

 *2 参考:Sustainable Japan(https://sustainablejapan.jp/2015/07/16/ethical-fashion/17236

「ライフスタイル」としてのメディア

 加えて、サステナビリティーに関する情報が得られにくいと感じていたこともあり、TSU.NA.GU.の仲間とともに「FLAT.」というウェブメディアをスタートしました。「サステナブル」や「エシカル」を合言葉のように使っていますが、こういった言葉はライフスタイルの文脈が強いと私は思います。例えば、プラスチック問題への意識からプラスチック飲料を避けてマイボトルにするなど、環境にやさしいライフスタイルの延長で行動に移している方もいます。「FLAT.」では、「“エシカル” “サステナブル”をもっと身近に、もっとおしゃれに」をコンセプトに、関連する情報や、実際にそういったカルチャーをつくっている方・団体へインタビューもしており、彼らのおもいや活動を発信しています。

 「メディア」は、SNSの登場とともにより多様になっています。私たちがテーマに置いているサステナビリティーやエシカルだけではなく、気候変動といった社会課題からセクシュアリティーなどの内面的なトピックに至るまで、「マス」メディアでは取り上げきれなかったトピックを個人から発信するSNSメディアも出てきています。そして、こういったさまざまなSNSメディアに触れながら、自分の嗜好(しこう)に合わせたメディアを選び、気軽に「フォロー」をして自分の中にある世界観を広げていく若者が増えていると感じます。それは、単に「情報」をキャッチする以上に、自分が心地よいと思う「ライフスタイル」の追求でもあるのではないでしょうか。

TSU.NA.GU.代表へのインタビューも。(筆者提供、撮影:Haruka Oshita)
TSU.NA.GU.代表へのインタビューも。(筆者提供、撮影:Haruka Oshita)

若者から発信する、「ソーシャルグッド」へのヒント

 私自身も「社会をもっとポジティブにしていきたい」というおもいで活動する、いちZ世代です。「そういう若者って、少数では?」と思われるかもしれませんが、実際そんなことはなく、食や政治、教育といったさまざまな領域で活動を広げている同世代は増えている感覚があります。これから「新聞」というマスメディアを通して、若者の間で起こっている社会的なムーブメントやそこに至る過程、そして彼らのおもいやソーシャルグッドへのヒント(オピニオン)を発信しながら、読者の方々とポジティブなアクションを起こしていきたいと思っています。次世代を担う若者たちのエネルギーを少しでも感じていただけたら幸いです。

 次回のライターは、「No Youth No Japan」という団体で「若者の政治参画」をテーマにSNSで活動を展開する能條桃子さん。1週間で1万5000人ものフォロワーを獲得した人気SNSメディアを運営する桃子さんが考える「次世代のメディア」とは……?

小澤茉莉

TSUNAGU理事

1996年生まれ。一般社団法人TSUNAGU理事。ウェブメディア「FLAT.」ディレクター。2018年エシカルファッションブランドTSU.NA.GU.にジョイン。ビジネスモデル設計や生産者と消費者のコミュニケーションづくりを通して、ファッションの透明性を発信。その他、企業や団体とともにプロジェクトを企画・運営。津田塾大学学芸学部国際関係学科4年(今年度休学中)。