どうする国民年金

(1)基礎年金生活者・単身女性に訪れる甘くない将来

井出庸生・衆院議員
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井出庸生氏=高橋恵子撮影
井出庸生氏=高橋恵子撮影

 以前から年金、特に国民年金(基礎年金)のみの農家や自営業者などの方の老後の生活苦や不安をなんとかしたいと思っていた。そこで今年6月から、階猛衆院議員と、井坂信彦前衆議院議員と3人で勉強を始めた。「老後資金2000万円」報告書問題が持ち上がる少し前のことだ。

 2000万円報告書問題を契機に7月の参院選では年金が争点となった。9月には政府も省庁横断的な「全世代型社会保障改革会議」を立ち上げ、今秋の国会や来春の通常国会は年金国会になると期待していたが、「桜を見る会」の問題や、大学入試改革を巡る問題、相次ぐ新閣僚の辞任などによって、年金は国会論戦の表舞台から姿を消してしまっている。年金議論の灯火を消さないためにも年金について書きたい。

財政検証では見えない単身高齢者の実態

 8月下旬に厚生労働省が発表した年金の将来見通し「財政検証」では、5年前の財政検証とほぼ変わらず、国民年金は将来、現役世代の平均手取りと比較した価値(所得代替率)が3割減少することが示された。

 財政検証では、現役世代は「手取り」収入であるのに対し、年金は介護保険料など諸経費が引かれる前の「額面」の金額が比較されていて、その不平等がずっと指摘されてきた。また、厚労省は、働く男性と配偶者の無職女性をモデル世帯としてさまざまな見通しを立てているが、このモデルはもはや過去の時代のものであり、これでは単身高齢者の生活状況が見通せないという批判が非常に多い。

 国民年金は、40年間、年金保険料を満額納め続けると、月額6万5000円が受け取れる。年金保険料を払いきれない人もいるので、平均支給額は月額5万円と言われている。そこから介護保険料1万円などが引かれるため、国民年金のみが老後の収入手段となっている人は、すでに相当苦しい生活を強いられている。私が地元で接する多くの高齢者の方からも切実な訴えを聴き続けてきた。

 稲垣誠一国際医療福祉大教授の試算によると、現在の貧困率は、全体でも65歳以上の高齢者でも10%前後だが、30年後、つまり現在の現役世代が高齢化した時には、高齢者の貧困率は20%に達し、全体の15%を大きく上回る。稲垣教授によると、国民年金加入者1500万人の4割、実に600万人が保険料の支払いを免除され、1割が未納だという。保険料の納付ができないことは、その全てが自己責任なのだろうか。

単身女性の将来は……

 稲垣教授…

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井出庸生

衆院議員

1977年生まれ。NHK記者を経て、2010年参院選長野選挙区に出馬し惜敗。12年衆院選初当選。衆院長野3区、当選3回。無所属