訪日外国人「2030年に6000万人」の“リスク”

徳永エリ・国民民主党参院政審会長
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徳永エリ氏=高橋恵子撮影
徳永エリ氏=高橋恵子撮影

 安倍政権は、我が国の経済成長には訪日外国人数を増やし、「観光立国」の推進に注力する必要があるとしています。2018年に3119万人という過去最高の訪日外国人数を記録しましたが、政府は、安倍晋三首相が議長を務める「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」において、「東京オリンピック・パラリンピックが行われる来年は、4000万人、2030年には6000万人」に訪日外国人数を増やすよう、目標を引き上げました。

 経済的なメリットは、確かに大きいかもしれません。しかし、訪日外国人が増えることのリスクを政府は議論しているのでしょうか。

家畜伝染病のウイルス侵入のリスク

 現在、岐阜県から始まり、12県で家畜伝染病「豚コレラ」が発生し、野生イノシシを媒介して感染が拡大しています。これまでに約15万頭の豚が殺処分されています。外国人が空港などの動物検疫をすり抜け持ち込んだ、豚コレラウイルスの入った食肉加工品の食べ残しを、野生のイノシシが食べて感染し、イノシシから養豚農家の豚に感染したとみられています。

 水際対策が万全で、豚コレラやアフリカ豚コレラが発生している中国などの地域から持ち込まれた食肉加工品を発見し、処分していたら、我が国で豚コレラは発生しなかったものと考えられます。

 我が国の動物検疫所の体制は、海港が60カ所、空港が45カ所。にもかかわらず、防疫業務にあたる家畜防疫官の数は、481人しかいません。そんな人数で、入国者の荷物をチェックできるわけもありません。聞くところによると、家畜防疫官は、今日はあちらの港に中国からのクルーズ船が入る、今日はあちらの空港に韓国からの直行便が入る、と出張で対応し、出張回数はトータルで年間5000回という異常な事態となっています。

水際対策の強化を急げ

 主要国では、動物検疫に権限を付与し、持ち込みを禁じられている食肉加工品などを見つけたら、没収。違反者には厳しいペナルティーを科しています。

 台湾では、違反者には高い過料を払わせ、払わなければ入国拒否。オーストラリアでは、10年以下の懲役または約3070万円の罰金、観光ビザを剥奪することまでしています。豚コレラだけではありません。口蹄疫(こうていえき)、鳥インフルエンザなども、周辺国では毎年発生しています。家畜農家の安心を支え、国民の安全を守ること。グローバルな時代だからこそ、国の責任なのではないでし…

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徳永エリ

国民民主党参院政審会長

1962年生まれ。テレビリポーターや企画プロデュース会社役員などを経て2010年参院初当選。党男女共同参画推進本部長・憲法調査副会長・ハラスメント対策委員長。北海道選挙区、当選2回。