日韓 感情的な連鎖断ち切る「蒸し返し」はダメ

小野寺五典・元防衛相
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小野寺五典氏=手塚耕一郎撮影
小野寺五典氏=手塚耕一郎撮影

 日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の失効が回避された。日米韓の連携がしっかり確認できたことになり、一定の意義がある。これが日韓の関係が改善されるきっかけになればいいと思う。それには日韓双方の努力が必要だが、まずは韓国側の努力を見守るのが前提となるだろう。

 韓国との付き合い方のキーワードは「丁寧な無視」だ。GSOMIA失効回避の発表を巡っても、韓国側は日本の輸出管理強化を引き合いに出し、日本の発表内容について「歪曲(わいきょく)されているとして抗議し、日本が謝罪した」と公表した。

 日本は輸出管理強化とは関係ないというのが一貫した立場であり、謝罪を否定した。これが事実だろう。韓国側の失敗は、「GSOMIAを破棄する」と言い出したのは日本に何らかのインパクトを与えることが目的だったのに、むしろ米国を本気で怒らせてしまったことだ。

 そして米国の圧力により、米韓関係を考えれば破棄を凍結せざるを得ないと判断したのだろう。振り上げた拳を自分で下ろすことになり、韓国側は国内向けの発信をしなければならない必要に迫られた。その事情を考えれば、日本の立場は丁寧に説明するが、韓国側のこういった主張に過剰に反応することはない。

 日韓関係では大きく引っかかっている問題がある。いわゆる元徴用工問題と慰安婦問題だ。日本の立場を言えば、元徴用工問題は日韓基本条約や日韓請求権協定で解決済み。慰安婦問題についても、2015年に韓国が財団を設立し日本が資金を拠出し、「最終的かつ不可逆的に解決」したと合意したはずだ。それぞれ当時の韓国政府が認めた形で決着している。それなのに政権が違うと言って蒸し返されたのでは、国と国の約束は成り立たない。

 日韓の問題で禍根を残してきたのは…

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小野寺五典

元防衛相

1960年生まれ。宮城県職員などを経て97年衆院初当選。防衛相、自民党政調会長代理などを歴任。衆院宮城6区、当選7回。自民党岸田派。