
首相在任記録では前人未到の境地に入っている安倍晋三首相だが、本人としてはもちろんそれだけではもの足りないだろう。また、われわれ同時代人もこのままでは肩身の狭い思いをしかねない。
できれば、吉田茂(講和)、岸信介(日米安保)、佐藤栄作(沖縄返還)、田中角栄(日中国交回復)のような大宰相と同様の際だった歴史的業績がほしいところだ。
安倍首相は自分の歴史的使命を憲法改正、北方領土返還、拉致問題の解決などに置いてきたようだが、いずれも一筋縄ではいかない難題だ。
それに、先人の歴史的業績は、たまたま“時務”すなわち時代の要請として機が熟していたものがほとんどだから、特に安倍首相自身の責任を問われるものではない。
首相の(自民党総裁としての)残りの任期は2年弱。この間に東京五輪・パラリンピックもある。常識的に見て、この間に大風呂敷を広げるのは賢明ではない。大事業への中途半端な取り組みを始めるより、後…
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