子年に聞く

国会にも忍び寄る忖度 政治の自主性認めない行政府

赤松広隆・衆院副議長
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赤松広隆氏=小川昌宏撮影
赤松広隆氏=小川昌宏撮影

 2017年から2度目の衆院副議長を務めている。数の多数で法案を通すだけならば結果は最初から決まっている。国会などいらない。議論の過程が大切だ。その場をいかに保証するかが議長と副議長の仕事だ。

 議長が与党第1党から出て、副議長は野党第1党から出るという慣例があるのは、少数の声に配慮する責任があるからだ。

 残念ながらここ数年、採決の強行などが目立つ。大島理森衆院議長は、18年の通常国会閉幕にあたって「行政を監視すべき任にある国会においても、その責務を十分に果たしてきたのか、国民の負託に十分に応える立法・行政監視活動を行ってきたか、については、検証の余地があるのではないでしょうか」という談話を出した。

 異例のことだったが、大島議長なりに危機感を持って踏み込まれたのだろう。なかなかできないことだ。

 「忖度(そんたく)」ということが霞が関で言われるが、国会も例外ではない。19年7月に萩生田光一幹事長代行(当時)が憲法改正論議に関して衆院議長の交代の可能性に言及した。官邸に忖度したのだろうが、あたかも改憲論議が進まないのは議長が悪いから、と聞こえる発言は非常に残念だった。

 そして8月には、衆院事務局が来年度予算の概算要求で衆院法制局に憲法課を設置したいと言ってきた。人員不足の衆院法制局の増員には賛成だ。しかし、参院選の結果、改憲勢力が3分の2を割り込み、改憲機運はトーンダウンしているのになぜ憲法課なのか。私は強く反対し、概算要求には盛り込ませなかった。これも萩生田氏の発言と同様、官邸への忖度だと感じた。

 19年4月1日の新元号をめぐる衆参両院の議長、副議長に対する意見聴取の際は事前に手順を示した文書が届けられた。携帯電話を預かる、記者会見で発表するまで1カ所で待機をお願いしますなどと書いてあった。手洗いに行く時は職員が一緒についてくるという。まるで行政府が立法府を拘束し、命令するかの…

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赤松広隆

衆院副議長

1948年生まれ。県議3期を経て90年衆院初当選。44歳で社会党書記長、民主党国対委員長、選対委員長、副代表、農相、立憲民主党最高顧問などを歴任した。2012年12月に第65代衆院副議長、17年11月から第67代衆院副議長。衆院愛知第5区、当選10回。党籍は立憲民主党。国会内では、議長とともに会派への所属なし。