潮流・深層

真実を語らなかった米政府 アフガン文書の波紋広がる

古本陽荘・北米総局長
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栄誉礼を受けるラムズフェルド米国防長官(中央)=防衛庁で2003年11月15日、武市公孝写す
栄誉礼を受けるラムズフェルド米国防長官(中央)=防衛庁で2003年11月15日、武市公孝写す

 米紙ワシントン・ポストが2019年12月に「アフガニスタン・ペーパーズ(文書)」という文書を公開した波紋が広がっている。米政府のアフガン復興に関する特別監察官が実施したインタビューの記録を情報公開法によって入手した。

 米軍幹部らが実際にはうまくいっていないにもかかわらず、戦況が好転しているかのような偽りの説明を繰り返し、アフガン戦争の泥沼が続いてきた実態を浮き彫りにした。ベトナム戦争の秘密工作などが記されていた報告書がリークされた際、「ペンタゴン・ペーパーズ」と呼ばれたことになぞらえて、アフガン・ペーパーズと名付けられた。文書は一つの報告書としてまとめられたものではなく、米軍や国務省の幹部ら約400人にインタビューした計約2000ページの記録だ。

 一端を見てみよう。後に駐北大西洋条約機構(NATO)米大使も務めたルート陸軍中将は、中央軍司令部やホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)で、アフガン政策立案の中心にいた。ルート氏は、NATO大使時代の15年にインタビューを受けている。そのルート氏が「アフガンについて基本的な理解を欠いていた。一体何をしているか分からなかった」と率直に告白している。

 対テロ戦争のアドバイザーだったクローリー陸軍大佐は16年に「アフガンはすぐに民主化する。住民が政府を速やかに支持するだろう――など、戦略に誤った想定があった」と振り返っている。そして「可能な限りうまく行っているようにみせるため、あらゆるデータがいじられた。例えば、まったく当てにならないと分かっている調査の結果を使って補強材料にしていた」と明かし、戦況の報告が実態とかけ離れたものだったことを認めている。

 開戦時の国防長官だったラムズフェルド氏は現職だった03年に「アフガンも、イラクも、誰が悪者なのか見極めることができない。情報機関のメモをすべて読んでいる。たくさん情報を得ているような…

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古本陽荘

北米総局長

1969年生まれ。97年毎日新聞入社。横浜支局、政治部、外信部を経て2018年12月から北米総局長(ワシントン)