日米安保を問う

「グレーゾーン」から集団的自衛権 そして宇宙へ

岸田文雄・元外相
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岸田文雄氏=長谷川直亮撮影
岸田文雄氏=長谷川直亮撮影

 日米安保条約は1951年に署名され、60年に改定された。当初、この改定で米国の戦争に巻き込まれるという批判があったが、その指摘が間違っていたことは歴史が証明している。

 78年、97年、2015年の3回にわたって日米ガイドライン(防衛協力の指針)が策定され、私が外相だった15年には、限定的な集団的自衛権の行使など現実的な対応を可能とした。

 こうした努力の積み重ねによって、対処能力、抑止力が高められ、我が国の外交安全保障の基軸として大きな役割を果たしてきた。

 それだけではない。日米安保体制は、米国の世界の警察としての役割が縮小傾向にある中、在日米軍の地域展開を支えている。

 アジア太平洋地域の平和繁栄、自由の礎であり、日本だけでなく地域全体にとって極めて重要な存在だ。インド太平洋地域における米軍の利益の確保にも大きく貢献している。米軍にとっても大きな恩恵を享受できる存在であり、一方的にどちらかが裨益(ひえき)しているものではない。

日米のバランスはとれている

 安保条約について「日本には米国を防衛する義務がなく不公平だ」と発言を繰り返すトランプ米大統領の意図は分からないが、日米安保条約では、米軍は我が国への武力攻撃に対して共同対処すると定められている一方で、米国に対して我が国は国内の施設区域を使用することを認めている。日米の義務は同一ではないが、双方の義務のバランスはとれている。

 日米…

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岸田文雄

元外相

 1957年生まれ。自民党宏池会(岸田派)会長。銀行員、衆院議員秘書を経て93年衆院選で初当選。党国対委員長、外相、党政調会長などを歴任。衆院広島1区、当選9回。