
平成から令和へと時代が移り、初めての新年を迎えた。
2019年末には、サスペンス映画を見ているかのようなカルロス・ゴーン元日産会長の日本脱出劇のニュースが飛び込み、仰天。さらに新年早々、米国がイラン革命防衛隊の精鋭組織「コッズ部隊」のソレイマニ司令官を殺害することで、米国・イランの緊張は一気に高まった。「第三次世界大戦」に言及する識者まで現れたのだ。
それに報復するイランのイラク米軍駐留地へのミサイル攻撃。幸い、トランプ米大統領の対応も含め、現段階では報復の連鎖が全面衝突につながるという最悪の事態は免れている。しかし、偶発的衝突を含めて、何が起こってもおかしくない状況はしばらく続くだろう。この米国とイランの緊迫した情勢に巻き込まれて、ウクライナ機がミサイルで撃墜され176人が死亡するという悲しい事故も起きている。
エスカレートする米国の中東政策
米国が主導する有志連合構想は、19年6月にイラン沖で起きた日本の海運会社が運行するタンカーなど船舶2隻への攻撃がきっかけとなった。この事件は核兵器開発を疑われていたイランと米・英・仏・独・中・露が15年7月に結んだ「イラン核合意」から、18年に米・トランプ政権が一方的に離脱し、非常に厳しいイランへの経済制裁を科していることと無関係ではない。イランは無制限のウラン濃縮を宣言し、核兵器開発が現実味を帯びると、中東での武力衝突が再燃する可能性…
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古賀伸明
元連合会長
1952年生まれ。松下電器産業(現パナソニック)労組中央執行委員長を経て、2002年電機連合中央執行委員長、05年連合事務局長。09年から15年まで第6代連合会長を務めた。現在は連合総研理事長。
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