Social Good Opinion

消費者以上の役割を担うZ世代

伊達敬信・NPO法人UMINARI 代表理事
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プラスチック容器や発泡スチロールが交ざった漂着ごみ。一部の素材は時間とともに細かく砕け、完全回収はより難しくなる=長崎県対馬市で2019年8月10日、津村豊和撮影
プラスチック容器や発泡スチロールが交ざった漂着ごみ。一部の素材は時間とともに細かく砕け、完全回収はより難しくなる=長崎県対馬市で2019年8月10日、津村豊和撮影

 日本におけるプラスチックごみのリサイクルについて、そのリサイクル方法やリサイクル率に疑問の声が上がっています。日本におけるプラスチックごみのリサイクル率は8割以上と説明されていますが、その大部分を占めるのは和製英語でサーマルリサイクルと呼ばれる焼却処理で、(正しい英語でエナジーリカバリーと呼ばれる)この処理においてプラスチック自体が素材として再生されることはありません。

 正しいリサイクルがされていない状況に国内外から非難の声が上がっていますが、そもそも正しいリサイクルを進めることがプラスチックごみ問題の最善の解決策であるかについては丁寧に考察をする必要があります。原料に再生されるマテリアルリサイクルや化学原料として再利用されるケミカルリサイクルが高い技術水準を必要とすること以前に、そもそもその工程における環境負荷はゼロではありません。

 3R(リユース、リデュース、リサイクル)というコンセプトは広く普及していますが、その優先順位は一律ではありません。もちろん短期的に全てを100%リデュースすることは極めて難しいため、引き続きリサイクル技術を高める開発は一定程度進める必要があります。

 しかし一方で、上記のようにリサイクルという工程を100%エコに行うこともまた極めて難しいため、そもそものごみの量を減らすリデュースにまずは第一の優先順位を置いて取り組む必要があります。

 そもそものシングルユースプラスチックの消費量、またそのごみの量に焦点を当てると、日本は極めてこの量が多いのが現状です。街には自動販売機があふれていてマイボトルを持ち運ぶ人は少なく、コンビニなどでも消費者の方から断らなければ基本的にビニール袋を受け取る結果になるというのが実態です。

 リデュースを進めていくためには、生産者からだけでなく消費者からも意識を傾け働きかける必要があります。そのためにはまず知ってもらうこと、アウェアネスを広げることが大切です。上記のようなプラスチックのライフサイクル(どう作られ、どう使われ、どう処理されているのか)もそうですが、その先にある地球環境や人体への影響についても広く共有していく必要があります。

 「デジタルネーティブ」と称されるZ世代は、ここに大きなアドバンテージを持っています。マスメディアに頼りきることなく、一人一人が発信力を持ち、その場で目に見えないシステムや価値まで共有していくことで消費のあり方を大きく変えていく可能性を持っています。

 例えば私が運営するUMINARI(海洋ごみ問題に取り組む若者主導のNGO)でも、”Ocean-friendly”、海に寄り添うライフスタイルというコンセプトのもと、生み出される価値・失われる価値の双方に意識を向けた消費、ライフスタイルの発信を行っています。

 最近ではそこから影響を受け、自分の消費・ライフスタイルをデザインし直し発信してくれるZ世代も増えてきました。ただ物を買う・買わないという消費者としての役割を超え、全体としてのシステムや価値に目を向け、再定義し、発信・共有していくZ世代の動きは、リデュースはもちろん、その先にあるプラスチックごみ問題の根本的かつ包括形な解決の鍵を握っています。

 そして、企業や行政、その他のセクターがこの動きとうまく連動していくことで、より幅広い全体としての価値を共創していくことができます。

伊達敬信

NPO法人UMINARI 代表理事

1996年生まれ。The Yield Lab 顧問。国連環境計画日本協会 広報委員。環境問題、特に海洋プラスチックごみ問題を中心に、Z世代のリーダーとして国内外におけるサステナビリティーの推進に尽力する。専門領域は持続可能な経営戦略、ユースエンゲージメント等。