潮流・深層

米大統領選候補者選び アイオワから始まる不思議

古本陽荘・北米総局長
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民主党のブティジェッジ前サウスベンド市長の演説に耳を傾けるアイオワの人々=アイオワ州エイムズで2020年1月13日、高本耕太撮影
民主党のブティジェッジ前サウスベンド市長の演説に耳を傾けるアイオワの人々=アイオワ州エイムズで2020年1月13日、高本耕太撮影

 11月の米大統領選でトランプ大統領と戦う野党・民主党の大統領候補者指名争いの幕開けは、2月3日の中西部アイオワ州の党員集会だ。2008年大統領選ではアイオワで、オバマ候補が本命だったヒラリー・クリントン候補を破って流れを作り、党の指名を獲得した。

 逆に、アイオワで振るわない候補者が撤退することも多く、同年のバイデン候補もその一人だった。中西部の小さな州・アイオワから正式な選考が始まり、大きな注目を集めることには、異論もある。アイオワは「最初の州」という地位を守ろうとするだろうが、今回の選挙戦の行方次第では見直し論が出てくる可能性がある。

頻繁にアイオワ入りする各候補

 アイオワは中西部の大平原に位置する。人口は300万人超。州都デモインには保険会社の本社が集まるが、州経済を支えているのは製造業だ。農業も盛んでトウモロコシ畑が広がる。

 候補者たちは、大規模集会ではなく、レストランや集会所などで小規模な会合を開く。有権者と候補者が言葉を直接交わすことがアイオワでは重視されるのだ。

 この小さな州に民主党の候補たちがどれだけ足を運んだかを、地元紙デモイン・レジスターが調べている。前回大統領選の翌月となる16年12月以降のアイオワでの滞在日数(20年1月28日現在)は、中西部インディアナ州サウスベンドのブティジェッジ前市長が61日、サンダース上院議員が58日、バイデン氏が53日となっており、各候補がアイオワを重視しているのは明白だ。

 国政経験のないブティジェッジ氏はアイオワ州内の各地域に組織を作り、ここで一気に浮上する戦略を描く。ブティジェッジ氏は08年大統領選でオバマ陣営のボランティアをした経験があり、似たような展開を期待している。

 約1700カ所で行われるアイオワ州民主党の党員集会では、学校の体育館や公民館のような指定場所に党の支持者が集まる。民主党の場合は、それぞれの候補を支援する「応援団」が演説で支持を訴えた後に「投票」が行われる。

 クイズ番組でそれぞれの回答の場所に移動するのと同じように、指定された支持候補の場所に集まるというスタイルだ。支持が15%に満たない候補を排除し、もう一回「投票」を実施する。今回から、投票先を変更できるのは、1回目の「投票」で排除された候補に入れた有権者のみとされたため、事実上は2回目の「投票」が最終結果となる。最後の「得票」に応じて、候…

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古本陽荘

北米総局長

1969年生まれ。97年毎日新聞入社。横浜支局、政治部、外信部を経て2018年12月から北米総局長(ワシントン)