ポットの中は今…

スウェーデンの男性育児休業は世界のモデルか?

石山絵歩・外信部記者
  • 文字
  • 印刷
「いつもこうやって子供を連れていた」と話すヘーグベリ大使=スウェーデン大使館で1月14日、石山絵歩撮影
「いつもこうやって子供を連れていた」と話すヘーグベリ大使=スウェーデン大使館で1月14日、石山絵歩撮影

 小泉進次郎環境相の育児休業(育休)を巡って議論が起きている。「取るだけいい」とか「たった2週間か」とか――。

 だが、男性の育休問題は決して日本特有ではない。昨年米国で長女を出産した私が参加した産前教室でも同じ議論が起きていた。産前産後で計12週間の無給の「Maternity leave(母親の育休)」しか法的に保障されない米国で、独自の父親の育休制度がある会社は多くない。「育児をしてこそ親。この国にスウェーデンのような父親の育休制度はないけれど、逃げないでください」。父親らにそう呼びかける助産師に対し、参加したカップルらは「1週間の休みを取れればいい方だ」、「1週間で何ができる?」などとそれぞれ発言した。

 私は議論の行方より、なぜスウェーデンが例に挙げられているのかが気になった。帰国して調べてみると、在日スウェーデン大使館で格好のイベントがあった。スウェーデンの育休制度は世界のモデルか? 子連れで取材にでかけた。

育休期間のうち90日は父親専用

 大使館では、6カ月以上の育休を取得した男性25人を撮影したスウェーデンの写真家ヨハン・ベーヴマン氏の「スウェーデンのパパたち」の巡回写真展が開かれていた。1月14日、子連れで向かったのは、閉幕を前に開かれたペールエリック・ヘーグベリ駐日スウェーデン大使、スウェーデン家具「イケア・ジャパン」のヘレン・フォン・ライス代表取締役社長兼チーフ・サステナビリティ・オフィサー(CSO)、積水ハウスの仲井嘉浩社長による鼎談(ていだん)だ。

 仲井社長は、2018年にスウェーデンを視察した際、公園にベビーカーを押すカッコいい男性しかいなかったことに衝撃を受け、同年9月、男性社員に1カ月以上の育児休業を促す「イクメン休業」制度を導入した。3人の話を聞いて、公園がベビーカーを押す男性だらけになる理由、米国の助産師が引き合いに出した理由が見えてきた。

 スウェーデンは1974年、世界で初めて「出産休業」を「育児休業」に変更した。要するに、父親の育休制度はこの国から始まったのだ。現行の育休は、両親あわせて480日。父親と母親それぞれに90日ずつ計180日が割り当てられており、残りの300日はどちらが取得しても構わない。父親に割り当てられた90日は、父親が休まなければ権利消滅となる。480日のうち最初の390日は給与の80%(上限有り)、残りの90日は、…

この記事は有料記事です。

残り1596文字(全文2596文字)

石山絵歩

外信部記者

1984年生まれ、2008年に毎日新聞社入社。岐阜・愛知県警、東京地検担当を経て、東京地・高裁で刑事裁判を担当。事件取材の傍らで、経済連携協定(EPA)によって来日したフィリピン・インドネシアからの看護師、介護士候補生などを取材。18年9月~19年5月、フルブライト奨学金ジャーナリストプログラムで南カリフォルニア大(USC)に在籍し、家事労働者について研究。