頻発する豪雨災害 減災には事前防災と中長期的計画を

足立敏之・参院議員
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足立敏之氏=高橋恵子撮影
足立敏之氏=高橋恵子撮影

 2019年は、台風19号により13都県で大雨特別警報が出され、約100人の方々が犠牲になるという大きな被害が発生しました。お亡くなりになられた皆様のご冥福を謹んでお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた全ての皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 私は、建設省・国土交通省で長年勤務した土木の技術者で、3年半前の参議院議員選挙で当選し、国政に参加させていただきました。そうした立場からすると毎年こうした歴史に名を残すような大災害が発生していることを大変憂慮しています。

 このため、2018年3月に国土交通省で一緒に仕事をしていた仲間たちと「気候変動による水害研究会」を立ち上げ、地球温暖化による気候変動への適応策を推進する観点から「激甚化する水害」という本をとりまとめ出版しました。最近の激烈な雨の降り方やこれまで経験したことがないような台風の動きをみると、従来とは異なる気象現象が起こり始め、地球温暖化に伴って気象が極端化して猛威を振るってきているという危機感があります。

 残念ながら、その本をまとめた2018年も、昨年の2019年もこの本で示したとおり記録的豪雨による洪水・土砂災害で甚大な被害がでてしまいました。今までの延長線で考えているだけでは不十分で、全く新たな視点での対応が必要になってきたのではないかと懸念しています。

 ところで、昨年の台風19号ですが、事前に1958年9月の狩野川台風に匹敵する台風と言われました。その指摘のとおり、静岡県伊豆市の湯ケ島雨量観測所での総雨量は、狩野川台風のときには739ミリであったのに対して、台風19号ではそれを上回る778ミリでした。

 しかし、今回、幸いにして狩野川流域では甚大な被害は出ませんでした。これは、狩野川台風以降に営々と実施されてきた砂防事業や、1965年に完成したトンネル放水路の狩野川放水路、毎秒約1500トンを直接海に分派した効果が大きかったと考えます。狩野川放水路のほかにも、これまで行われてきた河川改修や砂防事業が大きな効果を発揮し、被害が出なかった河川がたくさんあったと思います。例えば、利根川流域の首都圏外郭放水路や渡良瀬遊水地とその周辺の遊水地群、こういったものが絶大な効果を発揮したと思っています。

 一方、2018年の西日本の豪雨災害の際と同様、昨年もダムが洪水調節で大きな効果を上げたと聞きます。上流部にあるダムに…

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足立敏之

参院議員

1954年生まれ。79年建設省(現国土交通省)入省。四国地方整備局長、中部地方整備局長、水管理・国土保全局長、技監などを歴任。2016年参院選初当選。自民党岸田派。参院比例代表、当選1回。