災害列島日本に「自分の命は自分で守れ」と言う重い決断

山本順三・前防災担当相
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山本順三氏=高橋恵子撮影
山本順三氏=高橋恵子撮影

 2018年は西日本豪雨が発生し、2019年も全国各地で台風による被害が頻発した。その前から災害は多発しているが、気候変動により雨の降り方が変わったことが一つの要因だ。10~15年くらい前、議員同士で勉強会をしたときに学者から地球温暖化現象の影響で台風は非常に大きなものになると聞かされていたが、現実に災害の質が変わってきている。災害列島に住んでいるという意識で防災に取り組まなければならない。

備えるために学ぶ

 防災担当相在任時もさまざまな災害が起きた。内閣府の防災担当者は100人ほどしかいないので、目の前の災害対応で精いっぱいになりがちだが、次の被災を防ぐためにも過去や最先端の研究から学ぶ必要がある。

 地震や火山については、歴史から学ぶ事ができる。しかも、それぞれの災害が単発で起きるとは限らない。台風、豪雨、地震、津波、噴火などこれらが複合的に起きたときどんな被災状況になるのか。

 中央防災会議の下にワーキンググループ(WG)を設置し、十数人の専門家や民間企業の方々を呼んで、課題の洗い出しを行った。後任の武田良太防災担当相には、浮かび上がった問題点を解消できるよう予算化につなげてもらいたい。

「公」が「自助」を求める難しさ

 ある時、片田敏孝東京大大学院特任教授がWGで重大な提案をされた。「自分の命は自分で守らなければならないが、日本人はその意識が低すぎる。明確に伝えよう」と。確かに避難情報は行政が伝えていくが、情報を基にいつどこへ逃げるかを住民が理解していなければ意味がない。「自助」の大切さを正面から訴えようという提案だった。

 ただ、そこにいた官僚をはじめとする「公」が「自分の命は自分で守れ」と言い放つのは難しい。「責任逃れ」と非難される可能性があるからだ。会議に集まった面々は提案にうなずいたが、次の一言が出なかった。

 もちろん、地域住民が一緒になって避難の方法を確認していく「共…

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山本順三

前防災担当相

1954年生まれ。川崎製鉄社員、愛媛県議を経て2004年参院初当選。副国交相兼副内閣相兼副復興相や参院議院運営委員長などを歴任。愛媛選挙区、当選3回。自民党細田派。