香山リカさんのまとめ

新型コロナウイルスに乗じた“緊急事態条項論”が削ぐ改憲機運

香山リカ・精神科医
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香山リカさん=平野幸久撮影
香山リカさん=平野幸久撮影

 衆院の憲法審査会の前会長である自民党の森英介氏が、「改憲を『数の力』で押し切るつもりはない。与野党で作る審査会でもんでみましょう」と呼びかけた論稿をあなたはどう読むか。そう問いかけてみた。

 安倍晋三首相はことあるごとに「私の手でなんとしても憲法改正を」と強い口調で語るので、大多数の自民党議員も同じ思いだと思っていたが、私には森氏の論稿は意外なほど常識的で、落ち着いたトーンに見えた。こう言われたら確かに「考えてみよう」と思う人も多いのではないか、とも考えた。

議論以前の段階なのでは

 そこで、自民党が示す4項目の改憲案(たたき台)を改めて取り上げ、意見を呼びかけてみたわけだ。しかし、私の“思惑”は外れてしまった。医療の問題などは40近い投稿があるのに、今回の投稿数は約15にとどまった。しかも、侃々諤々(かんかんがくがく)の憲法論議とはいかず、投稿の多くが「この4項目に関して、あえて改憲する必要はない。法改正や法制定で対応可能」というものだった。

 中には、山口俊彦さんのように「こういう胡散(うさん)臭い提案の仕方をした時点で最早(もはや)この審査会はその存在理由を喪失してると言わざるを得ない」として、「憲法改正という名の欺瞞(ぎまん)」とズバリまとめる意見もあった。またフクロウさんは、「とにかく改憲したという実績や、公的権力に課せられた制限を緩めることが目的になっている」と、憲法を改正しようとする姿勢そのものを疑問視する。

つまりみな、m lさんが言うように「今のアベ政権下での改(壊)憲はその本質を見るのが重要」と考え、具体的な論議以前に「現時点で条文の詳細は検討するに値しない」と考えているのだ。

 「議論しよう」という呼びかけに比較的、肯定的だったのは、「やはり自民党の憲法改正のたたき台としてあげている4項目を国会で議論すべきだと思います。国会とはこういう問題を検討、議論して…

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香山リカ

精神科医

1960年北海道生まれ。東京医科大卒。専門は精神病理学。医師の立場から現代人の心の問題について発言を続ける。立教大学現代心理学部教授。