Social Good Opinion

お買い物の裏側で起きていることを知る

松田怜奈・Social Good Nativesメンバー
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松田怜奈さん=本人提供
松田怜奈さん=本人提供

 今月のテーマは「食」ということで、今回は特に「フェアトレード」についてお話ししていきます。

 フェアトレードとは、生産者の適正な労働賃金、労働環境、そして人権が保障されている上で、商品が生産され、それが消費者の手に届くというしくみです。

 この「生産者と消費者が対等な立場である」という関係性は一見当たり前のように聞こえますが、私たちの身近にある多くの商品の裏側には、生産者の元に適正な賃金が行き渡っていなかったり、ひどい労働環境の中で商品を生産していたりという事実があるのです。具体的には、スーパーにある安価なバナナやチョコレート、安くて大量に生産されたファストファッションなど、幅広い範囲にわたります。

 一般社団法人日本フェアトレード・フォーラム(FTFJ)の調査(2019年)によると、フェアトレードの認知度は32.8%、10代後半の若者においてはフェアトレードという言葉を見聞きしたことがある人の割合(知名度)が78.4%と8割近くに達しています。毎年認知度は上がっている一方で、全体と若い世代との調査結果からわかるように、世代ごとに認識度の差が出ていることもフェアトレードにおける課題の一つとされています。

パッケージの裏側に注目してみる

 一見難しそうに聞こえるフェアトレード。「言葉は聞いたことあるけどよく分からない」「貢献したいけど何からすれば良いの?」という声をよく耳にします。しかし、フェアトレードのお買い物は誰でも、今すぐに始められるとてもカンタンなことなのです。

 分かりやすい方法として、フェアトレード認証マークというものがあります。フェアトレードの認証マークは大きく分けて三つあります。一般の人が手に取る商品に対するもの、フェアトレードの基準を満たした団体に対するもの、各団体や企業が独自に基準を設けて作ったものに分類されています。もちろん、認証マークがなくても公正な取引が行われている商品も数多くあります。

モノが作られるためには多くの人が関わっている

 全てのモノには、たくさんの人が関わっています。私たち消費者は、完成形である“商品”としてしかみることができませんが、手に取った商品がどんなプロセスを経てきているのかを知ることはとても大切なことです。

 例えば、スーパーで売っているチョコレート。最初からあの四角くくて甘いチョコレートだったわけではありません。カカオを植えて、収穫し、カカオから豆を取る。それを火で煎ったり、すりつぶしたりとさまざまな過程を踏んで、やっとチョコレートとなるのです。普段着ているTシャツも同じ。最初からTシャツだったわけではなく、元をたどればコットンに行き着きます。生産者の方が綿花のタネをまいて、長い時間をかけて丁寧に育てることで、やっと綿を収穫することができます。それを糸にして、生地を作って、染色して……。商品として消費者の手元に届くまでに、多くの製造過程を踏んでいるのです。

 共通して言えることは、一つのモノを作るためには、たくさんの人が関わっているということです。その人たちに、適正な価格が払われることは、当たり前であり、そうであるべきだと私は思います。

 だからといって、これから買う全てのものをフェアトレード商品にするべきだとは思わないですし、それはとても難しいことだと思います。しかし、商品を買うときに少し意識をしてみることで、社会に貢献しながら、より楽しくお買い物ができるのではないでしょうか。

イギリスの小さな街から始まった運動

 現在、フェアトレードを推進するフェアトレードタウンというものが世界中のさまざまな都市で広がってきています。フェアトレードタウンとは、地域の人々や企業、団体が町ぐるみでフェアトレードを応援する取り組みで、2000年にイギリスで始まって以来、現在では2,000以上の自治体が認定されているそうです。日本でも2011年に熊本市がはじめて認定され、その後も名古屋市、逗子市、浜松市、そして2019年には札幌市、いなべ市がフェアトレードタウンとして認定されました。

 他にも全国各地でフェアトレードタウンに向けての取り組みが行われているのですが、その中で、私は東京都武蔵野市のフェアトレードむさしのという活動に参加させていただいています。吉祥寺や井の頭公園などで有名な武蔵野市。町の人や企業が一体となり、強いつながりを持つコミュニティーと温かい雰囲気の中、月単位で行われるマルシェやハモニカ朝市を通して、フェアトレードを広める活動が行われています。

「フェアトレードフォーラムむさしの2020」=筆者撮影
「フェアトレードフォーラムむさしの2020」=筆者撮影

 昨年度の「武蔵野市をフェアトレードタウンにする仲間を増やしたい!」というクラウドファンディングでは、100名近くの方々が支援をしてくださりました。また今月の3日には、フェアトレード武蔵野推進協議会が発足し、本格的な取り組みが進んでいます。

 2月16日に成蹊大学で行われた「フェアトレードフォーラムむさしの2020」には、150名を超える企業、地域の方々、学生が集結し、パネルディスカッションやフェアトレード見本市が開催されました。

 私はスタッフとしてイベントのお手伝いをさせていただいたのですが、とにかく参加者一人ひとりの社会を変えたいという気持ち、フェアトレードに対する思いが強いことを実感しました。人によってそれぞれ分野は異なりますが、共通していることは「より良い社会を目指している」ということ。

 1人では難しいことでも、同じ方向性を持った人たちが集まって一つの目標に向かうことで、問題解決に大きく貢献できるのではないでしょうか。今後も、地域の方々と一体となっていろいろな角度からフェアトレードと向き合い、活動をしていきたいと思います。

松田怜奈

Social Good Nativesメンバー

2000年生まれ。高校時代にH.O.P.E.のメンバーとしてエシカル消費の認知度向上に向けて活動し始めたことをきっかけに、エシカルファッション、フェアトレード、オーガニック食品、プラスチックフリーなどの分野においてライフスタイルに取り入れる形で発信している。またローカルな視点にも重点ををおき、東京都武蔵野市においてフェアトレードタウン実現を目指して調査、活動を行っている。コミュニティー形式エージェントSocial Good Nativesのメンバーとしてライター、イベント企画や広報、プロジェクトの運営にあたる。その他、エシカルファッションブランドTSUNAGUにおいてウェブライター、プランナーとして、雑誌veggyでは公式インスタグラマー1期生として活動をしている。立命館アジア太平洋大学1年。