佐藤まさひさの「守るべき人がいる」

攻撃と報復 米国とイランの「あうんの呼吸」 日本は深入りするな

佐藤正久・前副外相
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佐藤正久氏=宮武祐希撮影
佐藤正久氏=宮武祐希撮影

 米軍がイラン革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官を無人機で殺害した。米国はトランプ大統領に限らず「米国の脅威」に対しては軍事的な手段で攻撃する手法をとる。オバマ政権でもビンラディンを殺害した。

 米国の論理としては、イランにおいて対外工作を担っているのは革命防衛隊のコッズ部隊で、そのトップのソレイマニ司令官は米国に対する脅威である。だから、自衛権に基づいて排除した、ということなのだろう。

 ソレイマニ司令官を攻撃するために国内の基地を使われたイラクは「イラクへの通報も無く攻撃したのは主権の侵害だ」と批判している。しかし、米国とイラクの関係もあって、イラクはあまり強く抗議していない。例えばトルコの基地から攻撃していたのであれば大問題になっただろう。国際的にはかなり評価が分かれるところだ。

 ソレイマニ司令官はビンラディンとは異なり、イランの国民的英雄で人望もあった。殺害時には大規模な抗議デモも各地で起きた。イラン国民の反米感情に火を付けたマイナス面もある。

 米軍が中東に駐留していることへのイラン国民の反感は大きい。新しいコッズ部隊の司令官はイラクやシリア、アフガニスタンから米軍をいかに追い出すかということに力を入れることになるのは間違いない。

 一方で、トランプ氏は先日の一般教書演説で、アフガニスタンからの帰国兵士と家族のサプライズ対面を演出したほか、ソレイマニ司令官の殺害について「米国市民を攻撃すれば、命を失うことになる」と誇った。

 トランプ氏は司令官殺害の理由についてさまざまな外交的説明をしているが、このような演出や言い方を見ると司令官殺害も結局は大統領再選のための「トランプ劇場」の一種に見えてしまう。

 イランが米軍が駐留するイラクの基地をミサイル攻撃した報復はまったくの「歌舞伎」だった。攻撃後にイラン外相がこれは報復だ、しかしこれ以上はやらないと言う。トランプ氏も「万事うま…

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佐藤正久

前副外相

1960年生まれ。2007年参院初当選。防衛政務官、参院外交防衛委員長、参院自民党筆頭副幹事長などを歴任。参院全国比例、当選3回。自民党竹下派。自衛隊のイラク派遣で先遣隊長を務め、「ヒゲの隊長」と親しまれている。