選択的夫婦別姓の本質とは ヤジ騒動で問われる国会の品格

古賀伸明・前連合会長
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古賀伸明氏=内藤絵美撮影
古賀伸明氏=内藤絵美撮影

 さかのぼれば1996年、法相の諮問機関である法制審議会が、家族法の見直しを含む民法改正案要綱を法相に答申した。5年に及ぶ審議を経て練り上げられた要綱である。

 答申の主な内容は、「婚姻年齢を男女とも18歳に統一」「女性のみに課せられている再婚禁止期間の短縮」「婚外子の相続分差別の禁止」そして、「選択制(的)夫婦別姓の実現」の4項目である。これらのうち、他の三つは既に実現しているが、選択的夫婦別姓だけは、四半世紀がたとうとする現在まで、国会の表舞台に出たことはない。

 この源流をたどれば、75年国連の国際婦人年から始まる国際的な女性の権利保障の推進運動や、85年に日本も批准した女性差別撤廃条約などを受け、91年から家族法の見直しの議論に着手したのである。

 日本においては、現在、民法750条で夫婦の同姓が規定されており、戸籍法によって夫婦同姓・別姓が選択可能な国際結婚の場合を除き、婚姻を望む当事者のいずれか一方が姓を変えない限り法律婚は認められていない。

 これまで、日本は、夫婦同姓を法律で強制している唯一の国として、国連の女性差別撤廃委員会より繰り返し勧告も受けている。政府は住民票やマイナンバーカード、運転免許証と旧姓併記を認める対象を徐々に増やしているが、公文書などでは原則戸籍名しか認められない場合が多い。

 選択的夫婦別姓に反対する人たちは、夫婦別姓によって家族の崩壊につながるし、夫婦同姓は日本の伝統であると主張する。しかし、日本はもともと夫婦別姓であった。近代においても、夫婦同姓が定められたのは、…

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古賀伸明

前連合会長

1952年生まれ。松下電器産業(現パナソニック)労組中央執行委員長を経て、2002年電機連合中央執行委員長、05年連合事務局長。09年から15年まで第6代連合会長を務めた。現在は連合総研理事長。