ウイルスは国籍も人も選ばない 台湾が空白のWHOは不完全

謝長廷・台北駐日経済文化代表処代表
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謝長廷・台北駐日経済文化代表処代表=同代表処提供
謝長廷・台北駐日経済文化代表処代表=同代表処提供

 中国湖北省武漢から発生した新型コロナウイルスによる肺炎の流行は、2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)を想起させた。実際にはSARSよりも感染スピードが早く、今年に入ってからわずか1カ月半余りで既にSARSの感染者数も死者数も超え、日本でも犠牲者が出た。

 ウイルスは国籍も人も選ばない。新型コロナウイルスの感染者はすでに台湾や日本を含む世界各国に広がった。感染地域との往来制限や、患者の一定期間の確実な隔離、ワクチン開発など、感染がこれ以上広がらないよう世界各国が協力していく必要がある。

 以前、中国で発生したSARSが台湾に入って来たとき、「一つの中国原則」という政治的理由でWHO(世界保健機関)に未加盟の台湾は、WHOから防疫の最新情報が得られず、被害が拡大した手痛い経験がある。台湾はこの経験から、今回迅速に厳格な水際対策を実行することにより、国内での感染の広がりを抑えることに成功している。

 台湾は09年から8年連続でWHO年次総会にオブザーバーとして参加していた。しかし、17年より再び参加できない状態が続いている。WHOは1月22日に開いた新型肺炎の対策を話し合うWHO緊急会合でも台湾を排除したが、その後、日本や米国、欧州各国などが台湾の参加を強く支持したことから、2月11日のWHOオンライン会合には台湾も参加し、新型肺炎の最新情報および対策について意見交換することができた…

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謝長廷

台北駐日経済文化代表処代表

1946年生まれ。台北市議会議員、立法委員(国会議員)、高雄市長、行政院長(首相)などを歴任。2016年6月から現職。