Social Good Opinion

自分を生かす生き方。1人1人がカスタマイズできる社会へ

大山友理・Women’s Innovation代表
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大山友理さん=稲垣純也さん撮影
大山友理さん=稲垣純也さん撮影

 大学の先輩でソウルメートのような、一般社団法人TSUNAGU理事の茉莉さんが中心となって昨年12月から始まった企画。「Z世代」が考える「ポジティブな社会をつくるためのヒント(オピニオン)を届ける『Social Good Opinion』」。

 食やカルチャーに政治をはじめ、多岐にわたる分野をそれぞれ追求し続ける先輩たちのOpinionが並んでいる中で、私は「生き方」をテーマにつづります。

父がきっかけとなって考え始めた将来の私

 2016年4月に施行された「女性活躍推進法」。その1年後に私は、友達3人とともに有志コミュニティーWomen’s Innovation(名称:ウーマンズイノベーション)を立ち上げました。

大きな転換点となった取材、2017年7月20日撮影(筆者提供)
大きな転換点となった取材、2017年7月20日撮影(筆者提供)

 原点となったのは、建設業を営む父に「長女だから、将来私は会社を継ぐの?」と尋ねた時のこと。返ってきたのは「建設業界は男社会で、女性が子育てしながら働きたくても理解を得られる環境には思えない」という答え。その時初めて、思い描いていた将来像は、職種や環境によってはかなわない可能性があるという事実を知りました。

 私が中学3年生の時には、父が10万人に1人の確率で患う病気を発病しました。その当時、余命宣告を受けたこともあって、私、弟、妹を1人で育てることになるかもしれない状況に置かれた母。その一方で、再就職をしようと思っても、管理栄養士の資格を持っている母の友人含め、家計を支えられるほどの仕事を見つけることは難しいという現実。

「女性活躍」という言葉に対する違和感

 「今までは父が病気とはいえども、選択肢を狭めないように自分で自由に決めさせてもらえる環境を作ってもらえていた私」は、「環境や状況に合わせた上で望む選択肢は得られないかもしれないし、その時期をコントロールできない可能性を将来持っている私」というフェーズに向かっていく気がしました。そんな葛藤を覚え始めた時に、目に入ってきた「女性活躍」という言葉。私にとってこのワンフレーズはあまりにもキラキラ見えすぎてしまい、発信されていない現実を含めて実態を知りたい。

 そんな原点があって始めた取材で、いつも欠かさなかったこの2問。「女性が働き続けられる環境を手にするために必要なことは何ですか?」「子育てと仕事はどうやって両立するんですか?」。ウーマンズの他、私個人で取材して見えてきた共通点は、「誰も答えを見つけられていない」という事実。

Z世代のキーワードの一つ「情報」

 活動を進めれば進めるほど、心配性な性格もあってか将来の自分を思うと、こびり付いているかのように付きまとう不安。そんな時にふと浮かんできたキーワードは、Z世代の私たちの特徴の一つになり得る「情報」。

 不安のタネになることも安心材料になることも、生まれた頃から情報に囲まれ育ってきた過程で、いや応なく学んできた世代。

 同時に母親の姿を通じて、働き続けること、再就職することの難しさを強く感じているからこそ、メディアから流れてくるネガティブな情報に翻弄(ほんろう)されてしまう。

宮城で食器屋「クラフト木村」を営みながら、スナックを始めた神戸智恵子さんに取材。2019年7月19日撮影(筆者提供)
宮城で食器屋「クラフト木村」を営みながら、スナックを始めた神戸智恵子さんに取材。2019年7月19日撮影(筆者提供)

 そんな状態から脱却するためには、耳にするものの隠されがちなポジティブな本音とともに、働いている女性だけでなく、それぞれのライフステージに寄り添って選択してきた女性たちを発信したい。そんな思いからウーマンズでは、“ロールモデルが身近に感じられる環境を作り、サンプル数を可視化する。そしてそのパーツを組み合わせて、一人でも多くの人が、それぞれ生き方をカスタマイズできる社会”にしたい。

 4年近くヒアリングを繰り返してきて、たった20年生きてきた時間で語れる話でもないけれど、今思うこと。当たり前ではあるものの、その人にしか生きられない替えのない人生は良しあしをつけられるものでも、生き方に優劣と正解はないということ。

ハッシュタグから生まれる一時期のムーブメントで終わらせないために

 今週1週間、ツイッターを開くとミモザ一色と言っても大げさではないタイムライン。3月8日の国際女性デーまで “性別に関係なく、誰もが自由に選択でき、生きられるように”と #メディアもつながる のハッシュタグ。追えば追うほど、『「女性活躍」という言葉を一くくりに、ありたい社会を掲げるのではなく、それぞれどう生きていきたいか。発信した上で、お互いを応援できるような社会にしたい』という一人一人のバトンがつながっている気がした1週間。

 その一方で、エシカルゴみずきさんのコラムタイトル『「議論」じゃなくて「意見の殴り合い」がそこかしこで発生するようになった』も散見される気がした1週間。

 コラムの最後で「世の中には白黒つけられないことがたくさん存在するからこそ、勝ち負けじゃない意見交換を重ねていくことで、みんなで目指す社会を形づくっていきたい」とつづっていたエシカルゴみずきさん。

 わたしたちのインスタグラムの活動も、一部の間では拡散していただきムーブメントになったようでしたが、選挙が終われば、何事もなかったように日常に戻ると語っていた能條桃子さん。

 この2人が語る言葉のように、誰かの誕生日のようにお祝いされるような一時期のムーブメントで終わってしまう国際女性デーだとしたら、キラキラとネガティブな情報の双方が高速で混じり合って、「隣の芝生は青く見える」で終わってしまう。

 それぞれ違う立場に置かれている人たちの声が流れ続けることで、広がる生き方。このことによって、情報があふれすぎるがあまりZ世代に根強くある不安一つ一つが薄れていき、制度を変える原点にもなり得る。アプローチの方法として正しいのは分からないけれど、国際女性デーに限らず、日常にそんな景色が広がっていくことを願って。

大山友理

Women’s Innovation代表

2000年生まれ、津田塾大学2年生。学生団体Women’s Innovation代表/Business Insider Japan編集部 元インターン/NEXTWEEKENDイベント制作インターン。2017年4月に友人3人とともに「強くしなやかに生きる多様な女性のロールモデルに出合い、カスタマイズする方法を提案する」ことをテーマに、有志コミュニティーWomen’s Innovationを設立。活動を展開している東京メンバーに加え、地に足の着いた生活をしているロールモデルに出合う環境を北海道・東北を中心にオンラインコミュニティーメンバーとともに作っている。