潮流・深層

異端の政治家サンダース氏 「左のトランプ」の理由

古本陽荘・北米総局長
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支持者を前に演説するバーニー・サンダース上院議員=米東部ニューハンプシャー州キーンで2020年2月9日、古本陽荘撮影
支持者を前に演説するバーニー・サンダース上院議員=米東部ニューハンプシャー州キーンで2020年2月9日、古本陽荘撮影

 米大統領選の野党・民主党の候補指名争いは予備選が集中した3月3日の「スーパーチューズデー」の後、急進左派のバーニー・サンダース上院議員(78)と穏健派のジョー・バイデン前副大統領(77)との一騎打ちの構図が確定した。サンダース氏は、民主的社会主義(Democratic Socialism)を支持していることを公言し、所得格差に不満を持つ若者から絶大な支持を受ける。

 一方で、民主党の指導部や穏健派からは、サンダース氏の攻撃的な政治姿勢などに対する批判の声が絶えない。その姿を、米国社会を分断してきたトランプ大統領になぞらえ「左のトランプ」と呼ぶ人もいる。選挙戦の現場で目の当たりにしたサンダース氏や支持者の姿から実像に迫りたい。

 2月9日夜、東部ニューハンプシャー州キーンの大学。雪が舞うなか、2000人近い人がサンダース氏の集会に駆けつけた。聴衆には若者が多い。年齢層の高い人たちもいるが、インテリというよりは、労働者風の人が目立つ。

 サンダース氏が「トランプ氏は病理的なうそつきだ」と怒鳴り声に近い声を張り上げると、聴衆も割れんばかりの歓声を上げ、応える。

 批判の対象は、トランプ氏だけではない。大金持ち、製薬会社、保険会社などに次々と批判を浴びせる。サンダース氏の政策を「過激」と指摘してきた大手メディアもやり玉に挙げる。盛り上がったところで、看板政策の政府主導の国民皆保険制度「メディケア・フォー・オール」に言及。「医療保険は、人権だ」と声を張り上げ、会場は最高潮に達する。

 ややダミ声の演説は、政策に少しずつ触れるだけで、細部には入らない。長くはしゃべらず、聴衆に反応する時間を与え、会場は一体感に包まれる。マイクは左手に持ち、しゃべりながら右手を上下左右に動かす。批判を強める際には、右手の人さし指と親指を突き刺すように前に何度も動かし、攻撃的な印象を与える。

 社会の融和を訴えるバイ…

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古本陽荘

北米総局長

1969年生まれ。97年毎日新聞入社。横浜支局、政治部、外信部を経て2018年12月から北米総局長(ワシントン)