Social Good Opinion

「個人の意見が社会を作る」北欧がジェンダー平等の社会を実現するワケ

瀧澤千花・わたしたちの北欧がたり。共同代表 NO YOUTH NO JAPAN 運営メンバー
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「わたしたちの北欧がたり。」共同代表で「NO YOUTH NO JAPAN」運営メンバーの瀧澤千花さん
「わたしたちの北欧がたり。」共同代表で「NO YOUTH NO JAPAN」運営メンバーの瀧澤千花さん

 今月のテーマは「Empowering Women」。性別で自分の選択肢が狭まる社会はおかしいと、私はデンマークに留学しました。北欧社会を通じて、Z世代が築いていくジェンダー平等の未来について考えます。

フィンランドで誕生した「34歳女性首相」

 2019年12月、フィンランドで世界最年少女性首相が誕生。「34歳」かつ「女性首相」であることに加え、女性12人男性7人の内閣構成比率が「日本ではなかなか考えられない」と話題になりました。彼女は国際女性デーのイベントで、「ジェンダー平等は社会の成功の礎」とスピーチ。ジェンダーギャップ指数世界3位の国の首相としての姿を示しました。

 <ジェンダーで社会変革を起こすには何が必要か

憧れの地、北欧へ

 私が北欧に出会ったのは、中学校3年生。日本の女性の社会進出について卒業論文を書いていた時でした。母親のように働きたいけれど、どうやら日本社会はそんなに優しくなさそうだぞ……と調べていくと、時短勤務や夫婦両者の育児休業制など、理想的な北欧の男女平等社会の姿を知りました。そして大学3年生の1月、憧れの北欧へ。私が留学先に選んだのは、「民主主義の学校」といわれるフォルケホイスコーレがある、デンマークでした。

留学先のフォルケホイスコーレ。政治家の討論会が開かれ、地域の人も訪れます。校長先生がファシリテーター=2019年3月、筆者撮影
留学先のフォルケホイスコーレ。政治家の討論会が開かれ、地域の人も訪れます。校長先生がファシリテーター=2019年3月、筆者撮影

21歳の現役女子大学生EU議員の誕生、デンマークにあるものとは?

 留学当時のデンマークは選挙イヤー。学校も街も選挙一色になる中、欧州連合(EU)議会議員選挙では21歳の現役女子大学生議員が、国政選挙では女性首相が誕生しました。

 私は6月に開催された政治フェスティバルで、現役女子大学生EU議員のキラさんと話をすることができました。彼女は「私は“女性”で“若い人”が特にEU議会に必要だと思っていました。それならば、あなたがならないと!と言われたことが、立候補の理由の一つですね」と語ります。またそのイベントのスタッフであった年配女性も「若い人や女性、すべての人が代表になれるべきよ」と話していました。気候変動を掲げ大学生で立候補したキラさん自身の存在だけでなく、そこにはそれを支える大人たちとそれを可能にする文化的・制度的土壌があるのだと強く感じました。

島全体が会場となり、政治家と話すことができる「The People's Meeting」イベントにてキラさんと=2019年6月撮影、筆者提供
島全体が会場となり、政治家と話すことができる「The People's Meeting」イベントにてキラさんと=2019年6月撮影、筆者提供

 デンマークの友人たちに「どうして投票に行くの?」と聞くと、「自分の意見を反映させるためだよ」と答えます。「どうしてデモに行くの?」と聞くと、「クールだから」と答えます。「みんな意見がしっかりあるよね」と話すと、「意見を言わないほうが頭が悪いと思われるんだよね」と答えていました。

 自分の意見を言う、その意見が集まり新たなコンセンサスを生む。これが、今のコミュニティーや社会をもっと良くしていこうとする、クールなデンマークの民主主義の形でした。

 個人の意見が大事にされることは、その社会に住む全ての人の意見が大事にされることでもあります。それは結果として、社会に半数近く存在する女性の意見が政治分野においても反映され、それに合わせた制度や風土ができ、若い女性議員や女性首相も普通に誕生する。こうしてジェンダー平等の社会が構築されていくことは、フィンランドでも同じではないでしょうか。

「おかしいと思う」から、社会

 おかしいと思うことや、わからないことをそのまま言う。性別や国籍によらず、その人の意見として捉えてくれる心地よさが、デンマークにはありました。

 日本でも、みんな「おかしいと思う」と言います。女性が家事育児の大半を担う現状も、飲み会でサラダを取り分ける気遣いを「女子力」と呼ぶことも。社会の仕組みや個人の努力では変えられないものが、誰かを生きにくくしている現状を知っています。でも投票には行かないし、その思いを人に伝えない。伝えると”めんどくさいやつ”になってしまう。それはすごく残念だし、もったいないなとも思います。だってそれは、結局自分がおかしいと思っている現状を自分自身が肯定していることになるから。

 だから私は、目の前にあるおかしいなと思うことに目を向け、もっと良くしたいよねと言っていきたい。「めんどくさいやつ」が「クールだね」に変わるように。

 フィンランドの女性首相はこう話します。「フィンランドは長い間、社会格差が大きな貧しい農業国だった。人口の半分を占める女性を無視する余裕などなく、あらゆる社会資源を活用しなければならなかった。ジェンダー平等は、社会の利益になる」。そして「変革をもたらす最良の方法は政治決定に多くの女性を置くこと」と。

選挙はお祭り。みんなでビールを飲みながら、開票を見守ります=2019年6月、筆者撮影
選挙はお祭り。みんなでビールを飲みながら、開票を見守ります=2019年6月、筆者撮影

 ジェンダーギャップ指数121位の日本。その中でも政治分野は144位です。これから私たちZ世代が直面するのは、超少子高齢化社会の日本。少しでも良い変化のスピードを早くして、埋もれていた女性の力が発揮され、多様な人の意見が反映される社会を作るほうが、多くの人にとって生きやすく幸せな社会になると思いませんか?

 それはまず、社会の仕組みや目の前の現状に「おかしいと思う」と言うことから。

瀧澤千花

わたしたちの北欧がたり。共同代表 NO YOUTH NO JAPAN 運営メンバー

1997年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科3年でジャーナリズムと社会保障を学ぶ。男女平等社会の鍵は民主主義にあると、デンマークのフォルケホイスコーレに留学し仲間と北欧ブログメディア「わたしたちの北欧がたり。」を立ち上げる。U30のための政治の教科書メディア「NO YOUTH NO JAPAN」の運営メンバーとしても活動、主にイベントやコンテンツ制作を担当する。