
政府は2003年に「20年までに指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度」との目標を掲げたが、残念ながら達成できていない。しかし、世の中の半数以上を占める女性が社会に出て、力をつけていくことは重要なことだ。世の中の仕組みやあり方を決定していく場面で女性がリードできる存在になることは、子どもを産み育てやすい社会を作る上でも重要と考える。
女性の声で液体ミルク解禁
例えば、国内メーカーの液体ミルクが販売されるようになったが、これは災害時に粉ミルクを送っても適温のお湯や消毒済みの哺乳瓶の確保は難しいため、液体ミルクを送るべきだと女性たちが訴えたことがきっかけだ。その後、母親に代わってミルクを与える父親、おじいさん、おばあさんにも利便性が伝わり、コンビニでも販売されるほど広まった。これは女性が声を上げなければ実現できなかった実例だ。
遅れる政治分野の進出
しかし、日本のジェンダーギャップ指数は世界153カ国中121位で、主要7カ国(G7)では最下位だ。特に政治分野では144位と低い。
この指数が算出された当時、女性閣僚は片山さつき女性活躍担当相だけだったことも数字を下げた要因と思われるが、衆院に占める女性議員の比率が1割以下というのもいかがなものか。数が力を持つ政治の世界においてあまりにも少ない。国の制度を作る立法府で女性の声が反映しにくい状況が続いているのは問題だ。
子育てと家事は女性の仕事という社会通念
また、女性の育児休業取得率は8割台(18年)で推移しているが、男性は6.16%にとどまっている。この数字は女性が全力で仕事しながら子供を育てるのが難しいことを表しているのではないか。
社会で活躍したい女性にとってのハードルは子育てと家事は女性の仕事という社会通念だと思う。だから男性の育休取得が進まないし、取っても家事や育児は1日数時間という「ダラダラ育休」になってしまう。
そのため昔ほどではないが、女性は家庭を取るか仕事を取るかという選択を迫られる。仕事を続けたい女性にとって日常生活が負荷となる状況では、家庭を持ちながら活躍することはできない。また、一度仕事を辞めることを選んでも、やる気と能力があれば仕事に戻って相応のポジションと収入を得られるシステムを作らなければ、この選択肢は変えられないだろう。
男女の働き方の「てんびん」が極端
ただ、女性ばかりが我慢しているのではない。日本の男性は、朝から晩まで真面目に働いている。まだまだ男性社会には仕事第一という価値観があるからだろう。
仕事はもちろん大切だが、外国のお父さんたちのように男性も子育てを楽しめるくらいもう少し余力をもった働き方に変えていってはどうか。逆に女性も仕事を犠牲にするのではなく、もう少し仕事ができるようになればいい。男性と女性の働き方をてんびんにかけると、極端に男性に偏りがちだが、もう少し女性が働きやすい環境を整えて、男女の働き方でバランスが取れるような社会構造を作っていく必要がある。そうすれば男性も育児や家事に参加できる。
その意味でも安倍内閣は、働き方改革を推進してきた。短時間労働やテレワーク、一度辞めて、また戻ってこられるような柔軟性のある働き方をもっと取り入れていくべきだ。まだ取り組みの最中なので改善していくべき点はあると思うが、社会の意識が少しずつ変わってきてほしいと思う。
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