
「エシカル」をテーマとしたイベントで出会った一般社団法人TSUNAGU理事の茉莉さん。自分自身「ミレニアル世代」を超えた「Z世代」と言われるジェネレーションの中の声を届けるこの企画。
自分が女性であることが「壁」でなくなるためには、どういった社会が必要なのか。
「首相になりたい」そう思う自分が、どういう社会を目指すのか。
そんな思いをつづらせていただきます。
「〇〇君お人形で遊んでいるの? 女の子みたい」小さい頃、シンガポールや日本のインターナショナルスクールに通っていた自分が聞いた言葉。「聞いた言葉」だけじゃなく、自分が発言した言葉でもあった。そしていつからかは、女の子はピンクを着て、可愛くいて、いいお母さんになることを夢見る。
中高生になる時にはファッション雑誌の影響で「女子力」や「モテる方法」をひたすら研究し、「少しバカの方が好意を持たれる」と言い聞かせ、どういう職業が「モテる」のか考えて。
だけど、どんなに頑張ってもメディアが発信する完璧の女性像には近づけない自分と闘っていました。
今になって女性の「エンパワーメント」「Self Love (自己愛)」と言えても、中高生の私はありのままの自分が嫌で、とにかく自分を否定してしまっていた。
その時欲しかったもの、伝えてほしかったこと、それは「ありのままで良い」そんな言葉だった――。と、きれいごとを言いたいものの、どんなにエンパワーメントされても、「ありのままで良いよ」と言われても、社会人になった今の私でさえ、「無理なのかな」と思ってしまう。
22歳であっても、感じる絶望
ある日、雑誌の取材を受けていた時に「山本さんは政治家とか興味ないんですか?」と聞かれました。正直、当時21歳(半年前)の自分でさえも「嫌、今の社会では無理です」と思ってしまった。
去年話題となった34歳のフィンランドのマリン首相。「凄い!」と思う半面「日本では無理だな」とニュースを読みながら感じた。

日本の現状を見てみると、日本の閣僚ポストに女性が占める割合はたったの15.8%、主要7カ国(G7)では最下位。
自分自身、起業家やアクティビスト(活動家)として過ごしていく中で、本当にいろいろな人と出会い、話す機会がある。
ビジネスに関しては「女性には投資したくない」「若い女性は信用がない」という言葉を聞いたり、アクティビストとしてはすぐに「クソフェミ」「フェミニストなのに〇〇」と言われたり、女性が話す瞬間興味をなくす議員先生に出会ったり。そういう日々の生活で自分が「女性」であるというだけで存在する壁を全面に感じると、この15.8%という数値が「しょうがない」と思ってしまう。
首相やリーダーを務めるには――そういった意思決定の場にふさわしい人とはどういう人なのか。知識のある人、経験のある人、意思決定能力のある人、柔軟性がある人、そう思うだろう。
ただ、日本では「シスジェンダー(※)の男性であること」がどれだけ重要なのかを身をもって感じた。
※シスジェンダーとは、生まれた性と自認している性が一致していること
理想の社会とは
世界は、特に日本はとても不平等であって、「不利」なことばかりである。だからこそ私は自分の力でこの社会を変えたいと思うし、自分の生き方を通じてさまざまな壁は乗り越えられるというメッセージを一人でも多くの人に伝えたい。
私が目指す社会は、ジェンダーに関係なく「夢」が「現実」になれる社会である。

「女の子なんだから」「男の子なんだから」とジェンダーが主語として使われない社会、そしていっそそういったレッテルがなくなる社会。好きな色の筆箱やランドセル、好きなおもちゃが手に取れて、そういったステレオタイプによって行動が制限されない社会である。
「今の日本」には無理かもしれない、ただ私たちの世代は、確かに変わりつつある。
だから、確かに首相になるのは「今の日本」には無理かもしれないけど、私は日本社会は変わることを信じている。だから少しずつ変わりつつある社会に、私たちより上の世代は、その変化を理解しようとしてほしいし、わかり合おうとしてほしい。
そして私は「首相になりたい」という夢に対し、「女の子だから」なんて言う人とたくさん対談をしながら、それを実現できる社会のために活動を続けます。
山本和奈
一般社団法人Voice Up Japan代表理事
1997年生まれ。国際基督教大学で経済学や国際関係学を中心的に学ぶ。南米チリに留学中に国際NGO Educate Forを立ち上げ、大学4年生の時に「声をあげやすい社会を作る」をミッションとした一般社団法人Voice Up Japanを設立。在学中さまざまな起業などにも関わり、卒業後はチリにて金融市場にブロックチェーンを導入するWAYVXを設立した。WAYVX代表取締役。Educate For代表。
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