パンデミックの不安を抑えるには 検査体制の確立と医学外の専門家の知見を

古賀伸明・前連合会長
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古賀伸明氏=内藤絵美撮影
古賀伸明氏=内藤絵美撮影

 国際的な人の移動は、2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)や2012年の中東呼吸器症候群(MERS)のころと比較して、1.5~2倍になっていると言われる。ヒト・モノ・カネ・情報が一瞬のうちに国境を超えるグローバル経済社会は、必然的にリスクも瞬時に国境を超え世界に広がる時代をつくり出した。

 そのリスクを実証したように、新型コロナウイルスが世界に拡散している。3月11日、ついに世界保健機関(WHO)は、パンデミックを表明した。株価は暴落し、世界中でスポーツやイベントの中止・延期が進んだ。さらに、東京五輪の延期が決まった。

 新型コロナウイルスのまん延によって、世界の政治・経済・社会は大混乱状態に陥っているのだ。感染拡大の終息へのシナリオは見えず、場合によっては長期戦になることも覚悟しなければならない。このような事態だからこそ、自国第一主義から国際協調の立て直しと一層の強化が求められている。

 日本では、安倍晋三首相が科学的根拠も明示しないまま、自粛要請や全国一斉休校の要請などを突然に発表し、国民生活に大きな影響を与える政治判断を繰り返してきた。関係者を混乱させ、国民の理解を得られたとは思えない。

 政府には、データに基づいた正確で公正な知見を積極的に公開し、その分析と国民へのわかりやすく丁寧な説明が急務である。それこそが今極めて重要であり、現状の課題が国民的に共有される最良の方法であ…

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古賀伸明

前連合会長

1952年生まれ。松下電器産業(現パナソニック)労組中央執行委員長を経て、2002年電機連合中央執行委員長、05年連合事務局長。09年から15年まで第6代連合会長を務めた。現在は連合総研理事長。