麗しの島から

台湾の日本人留学生に受け継がれる「感謝」のバトン

福岡静哉・台北特派員
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久保田紗生さん(前列中央)、饒羽念さん(後列右から2人目)ら実行委員会のメンバーたち。手にしているのは被災者から託されたメッセージや手作り人形=台北市で2020年3月21日、福岡静哉撮影
久保田紗生さん(前列中央)、饒羽念さん(後列右から2人目)ら実行委員会のメンバーたち。手にしているのは被災者から託されたメッセージや手作り人形=台北市で2020年3月21日、福岡静哉撮影

 2011年の東日本大震災では台湾から200億円以上の義援金が被災地に送られた。台湾在住の日本人留学生たちが台湾に感謝の思いを伝えるイベント「謝謝(ありがとう)台湾」は12年から続いてきたが、新型コロナウイルスの影響で今年、中止の危機に陥った。「途絶えさせたくない」。学生たちは感染防止策を徹底し、形式を展示のみに変更して開催にこぎつけた。

「何としても被災地の思いを届けたい」

 「感謝 ありがとう台湾」「いつも日本を想(おも)ってくれてありがとう」

 台北駅の地下街で3月21日に始まった展示には、被災地の人々が書いたたくさんのメッセージが並べられた。買い物客が足を止めると、マスクをつけた久保田紗生さん(21)が駆け寄り、内容を中国語で説明した。会場には消毒液が設置されている。

 久保田さんは、台湾中部・嘉義県の中正大3年。台湾大3年で台湾人の饒羽念さん(21)と2人で1月16~20日、宮城県南三陸町、石巻市、名取市などの被災地を訪問した。数々のメッセージは、2人が現地で被災者に会い、書いてもらったものだ。台湾からの義援金で建設された南三陸病院の今の様子や、復興を遂げつつある被災地を写した写真なども展示された。

 会場には「絆シート」と名付けた縦横約1メートルの布を掲示し、来場者に被災地への応援メッセージを書き込んでもらっている。「共に頑張ろう!」「東北は魅力的な場所。もう一度行きたい」。来場者が次々と思いを記していた。

 謝謝台湾はこれまで毎年、台北郊外でステージイベントの形式で開催。被災者のメッセージ展示のほか、被災地と映像でつないで交流し、浴衣の着付け体験などをしてきた。今年も3月8日に台北郊外で開く予定だったが、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大を受けてステージイベントは中止し、感染対策を徹底した上で展示だけすると決めた。

 2月25日になってからの急な変更だったが、3月21…

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福岡静哉

台北特派員

1978年和歌山県生まれ。2001年入社。久留米支局、鹿児島支局、政治部などを経て2017年4月、台北に赴任した。香港、マカオのニュースもカバーする。