潮流・深層

新型コロナ感染拡大で急変 米大統領選どう影響するか

古本陽荘・北米総局長
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新型コロナウイルスへの対応について連日記者会見をするトランプ米大統領=ホワイトハウスで3月31日、AP
新型コロナウイルスへの対応について連日記者会見をするトランプ米大統領=ホワイトハウスで3月31日、AP

 米国における新型コロナウイルスの急速な感染拡大は、米国人の生活を一変させてしまった。外出を制限されるような感染症のまん延という想定外の事態で、大統領選に関する関心はすっかり吹き飛んでしまったと言っても過言ではない。野党・民主党にとって幸運だったのは、予備選が集中した3月3日のスーパーチューズデーで候補指名獲得に向けた流れが穏健派のジョー・バイデン前副大統領(77)に一気に傾いていたことだ。

 もし、急進左派のバーニー・サンダース上院議員(78)と一進一退のせめぎ合いが続いていたら、感染拡大は、民主党に深刻な混乱をもたらしていただろう。米国における感染がこれからどこまで拡大し、いつ収束するか見通せないなか、大統領選にどのような影響を及ぼすかを予想するのは容易ではないが、注目すべきポイントが見えてきた。

「戦時大統領」を狙うトランプ氏

 「我々は大勝利する。他に選択肢はない。この戦争に勝つためには米国民の一人一人に果たす役割がある」(3月30日の記者会見)。連日、ホワイトハウスで記者会見しているトランプ大統領は、「戦争(war)」という言葉を使って、自らが先頭に立ち、対応する姿勢を強調している。

 国家的な危機に直面した際、大統領を支えようという政治的な文化が米国にはあると言われてきた。戦時は愛国心が高まり、大統領の支持率が急伸することが過去にはしばしばあった。ギャラップ社の世論調査では、湾岸戦争でクウェートが解放され、イラクと停戦協定が結ばれた時期に当たる1991年2月28日~3月3日の調査で、当時のジョージ・H・W・ブッシュ大統領の支持率は89%だった。

 米同時多発テロ(9・11)の直後にあたる2001年9月21~22日の同社調査では、息子のジョージ・W・ブッシュ大統領の支持率は90%まで跳ね上がった。トランプ氏が頻繁に戦争という言葉を使っているのは、こうした数字を念頭に置い…

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古本陽荘

北米総局長

1969年生まれ。97年毎日新聞入社。横浜支局、政治部、外信部を経て2018年12月から北米総局長(ワシントン)